『20世紀』はカトリックを標榜する新聞であり、当時のカトリック教徒にとって宗教を蔑ろにするソヴィエトは許すべからざる国だった。その新聞の方針をそのまま反映させたこの『ソビエトへ』の内容は、端的に言えば「反共プロパガンダ」である。新聞の特派員タンタンはモスクワ訪問に出発するが、彼の存在を好ましく思わないソ連側は、彼を捕えようとあの手この手の限りを尽くす。モスクワまでからくも辿り着いたタンタンは、共産主義社会の悲惨な「実態」を目撃し、G. P. U.(ソ連の政治警察機関)がヨーロッパで企むテロ計画を暴き、晴れて英雄としてブリュッセルに凱旋するのである。
Vincent Delerm ヴァンサン・ドゥレルム の2016年のアルバム À Présent 『今は』。Les Inrocks のChristophe Conte によると、「傑作と呼ぶのに一秒もためらう必要はない」とか。なるほど。"Je ne veux pas mourir ce soir"「僕は今晩死にたくはない」。
Ce sera deux fois plus dur que les autres Mais deux fois plus forte tu l'es, t'inquiète pas De soutien tu n'auras que le nôtre Mais ça suffira, ça suffira ("Adèle")
画面の切り取り方や、人物の内面に入り込まずに淡々と物語る姿勢は、とても映画的だと言ってよいだろう。このまますぐに映画化もできそうだ、と思ったのだが、実際にもう映画化されたらしく、Polina, danser sa vie 『ポリーナ、自分の人生を踊る』という題で2016年に公開されている。作者自身が学校でアニメーションを学んだ経験があるそうなので、そのことも大きく影響しているだろう。