えとるた日記

フランスの文学、音楽、映画、BD

モーパッサン

クリスマスの夜

モーパッサンの顰に倣うように、時事的な題材を選んで翻訳をしてみました。 モーパッサン 『クリスマスの夜』 お読みいただけましたら幸いです。 ルイ・フォレスチエの指摘するごとく、ここで語られるのは聖夜の「降誕」のお話であり、それは「同時にグロテ…

あるパリのアヴァンチュール

モーパッサン 『あるパリのアヴァンチュール』 モーパッサンの短編を翻訳しました。 新庄嘉章訳では「パリの経験」と訳されている作品。ここで aventure はもちろん「情事」も含意しているが、もう少し広い意味で「向こう見ずな冒険」のニュアンスを汲み取り…

「親殺し」翻訳

これを機会にモーパッサンの短編の翻訳をしてみようと思い立ち、 モーパッサン 『親殺し』 モーパッサンの「親殺し」を翻訳してみました。 (全国の円朝ファンに)お読みいただけましたら嬉しい限りです。 短編の翻訳はなんと7年ぶりのことであります。 この…

対訳で楽しむ『脂肪の塊』第6回

『ふらんす』9月号に、 「対訳で楽しむ『脂肪の塊』」第6回(最終回)掲載されました(32-35頁)。 「脂肪の塊」不在の宴会の場面から、翌日の馬車の中の最後の場面まで、 コラムは「男性中心社会に生きる女たち」です。 お読みいただけましたら幸甚です。 …

ある風景画家の生活

夏休み翻訳できて嬉しいな。 モーパッサン 『ある風景画家の生活』 モーパッサンの「視線」に、どれほど同時代の画家と共通するものがあったか ということが、残念ながら日本ではあまり知られていないのではないかと思い、 翻訳しました。 お読みいただけま…

対訳で楽しむ『脂肪の塊』第5回

遅くなってしまいましたが、 『ふらんす』8月号に「対訳で楽しむ『脂肪の塊』」第5回掲載されております(p. 32-35.)。 いよいよ大詰め、旅客たちによる娼婦「脂肪の塊」攻略の顛末です。 コラムは「スクリーンの中の『脂肪の塊』」。挙げた作品は5本。 皆…

平野威馬雄の「祈り」

祈り……モオパッサンへ 頭髪よ 重き憂の鼓動に泳ぎ 靈の舗道に笑ふ頭髪よ 汝は温かき陽の唄ふ時に、 樂園の色を、透明に映し 年若き狂人を喜ばしめ、 冷たき午後の陽差しうなだれ歩む時に、 枯れ朽ち乾くが如き音にて、 さらさらと動く。 而して、青き頭髪よ…

対訳で楽しむ『脂肪の塊』第4回

また今月も宣伝になります。 『ふらんす』7月号に、 「対訳で楽しむ『脂肪の塊』」第4回、掲載されています(32-35頁)。 宿屋に足止めされた理由が明らかになる、物語中盤の山場になります。 コラムは「『脂肪の塊』ってなによ!?」 ヒロインの名の訳語に…

対訳で楽しむ『脂肪の塊』第3回

いささか遅くなりましたが、 『ふらんす』6月号に「対訳で楽しむ『脂肪の塊』」第3回掲載されております。32-35頁。 馬車の中で、「脂肪の塊」が皆に弁当を分け与えることで、 最初自分を馬鹿にしていた貴族・ブルジョアの面々に受け入れられるまでです。 コ…

「田舎のヴィーナス」翻訳

連休中におとなしく、積年の宿題をこなす。 モーパッサン「田舎のヴィーナス」 モーパッサンが1880年に刊行した『詩集』の19の詩篇中の最後の1篇。 「最後の逃走」の翻訳が2008年初めであったから、まる6年かかったことになる。 といっても、もちろんのごと…

対訳で楽しむ『脂肪の塊』第2回

宣伝ばかりで恐縮です。 『ふらんす』5月号に、「対訳で楽しむ『脂肪の塊』」第2回が掲載されています(32-35頁) 今回は馬車に乗り合わせた乗客たちのプロフィールになっています。 モーパッサンの描写の妙をじっくり味わっていただけましたら幸いです。 コ…

対訳で楽しむ『脂肪の塊』連載開始!

竜之介さん、長い間のご無沙汰どうも失礼いたしました。 昨年度に職場環境ががらりと変わっていらい、 まったくこちらへ戻って来ることのできない日々が続いておりまして まったくふがいないばかりです。 もうブログの書き方忘れてしまいました…。 でもとに…

バンヴィルとモーパッサン

余勢をかうように次の翻訳を掲載。 テオドール・ド・バンヴィル 『誠実さ』 訳してみたら、バンヴィルの文章は たいへん古典的にレトリカルなもので いささか苦労した上に、結果としても読みにくい。 しかしモーパッサンがよく売れて、 たちまち一流作家の仲…

『今日の人々』のモーパッサン

鹿島茂・倉方健作、『カリカチュアでよむ19世紀末フランス人物事典』、白水社、2013年 刊行を寿ぎ、勝手に便乗企画を立てました。 ピエールとポール 『ギ・ド・モーパッサン』 件の『今日の人々』の第246号、「ピエールとポール」の手になる モーパッサンに…

フランス自然主義文学

おもむろに宣伝させていただきます。 アラン・パジェス、『フランス自然主義文学』、足立和彦訳、白水社、文庫クセジュ、2013年5月 もうすぐ刊行です! Q980 フランス自然主義文学 - 白水社 この際アマゾンもはっつける。 Amazon CAPTCHA はるか以前から出し…

『ベラミ』映画公開に寄せて

人、それを便乗と呼ぶのであるが、 なにはともあれ、 映画『ベラミ』の日本公開を祝いたい。 http://www.belami-movie.info/index.html フランス語でやれ、と言っても仕方ないし。 さて、素晴らしいのは映画化の波及効果である。 (波及効果で仕事が回ってく…

モーパッサンのお墓に

夏の終わりに、 モンパルナス墓地にある、 モーパッサンのお墓にお参りしておこう。 この夏の個人的課題は、 日刊紙『ジル・ブラース』を読むことだった。 1881年末にモーパッサンが寄稿を開始した時、 紙上ですでに活躍していた作家の中心メンバーは テオド…

モーパッサンの石像に

あちこちに頭を下げてばかりいると モーパッサンに怒られるというか 呆れられそうな気がしないでもないので、 モンソー公園のモーパッサン像。 なにやら子どもがおったり、 頭に鳩がとまったりしてますが、 みんなに愛されるモーパッサン、 ということにして…

パリ、モーパッサン通り

マルモッタン美術館から徒歩で10分くらいのところ、 16区の閑静な住宅街の中に、 ギ・ド・モーパッサン通りがある。 別にモーパッサンと縁があった場所でもないのだけれど。 長さ90メートルほどの短い通りで、何があるわけでもないが、 パリに住めるものなら…

ラ岬

ブルターニュへさらに思いを込めて翻訳しました。 http://www.litterature.jp/maupassant/chronique/chro21fev1883.html お読みいただければ幸甚です。 (いつもの記述だと文字化けするのでどこかに問題があるやもしれぬ。 文字コードは今もってよく分からな…

モーパッサンとブルターニュ

6月30日がマラルメ。「エロディアード」を読み終える。ばんざい。 最後8行がどんでん返しだったのね。 そこに至って、エロディアード自身の内面に葛藤があることが暴露される。 だとすれば、劇作品としては、この作品はそこからこそ始まるはずのものではなか…

太宰治「富岳百景」のモウパスサン

「モウパスサンの小説に、どこかの令嬢が、貴公子のところへ毎晩、河を泳いで逢いにいったと書いて在ったが、着物は、どうしたのだろうね。まさか、裸ではなかろう。」 「そうですね。」青年たちも、考えた。「海水着じゃないでしょうか。」 「頭の上に着物…

改めて、簡単なのか

モーパッサンのフランス語は(少なくとも相対的に)簡単だ。 と断言すると、しかしなんとはなしに疾しい気分がしないでもない。 「モーパッサン先生」に怒られそうな気もするし。ははは。 Maupassant par les textes にThierry Selva 氏による、 Une étude q…

フランス語で読むこと

モーパッサン関係の最近のトピックのもう一つは、 佐藤若菜、『フランス語で読むモーパッサン 対訳ジュールおじさん・首飾り・シモンのパパ』、NHK出版、2011年 でありました。 こういう需要があるのは大変喜ばしいことである。 この本が目新しく見えるの…

まんがで読破すること

いかん、もう四月だ。どうしよう。 今更な話ではあるが、 バラエティ・アートワークス、『まんがで読破 女の一生』、イースト・プレス、2012年 を本屋で見かけた時はおどろいた。 190頁で主要なところはきっちり描いて、その職人芸は見事なものです。 なかな…

11ヶ月ぶりの翻訳

時間があるのかないのかよくわからないこの頃、 思いたって翻訳を仕上げる。 モーパッサン 『時評文執筆者諸氏』 自身、新聞紙上で「時評文執筆家」であり小説家でもあったモーパッサンが、 両者の性質の相違を説いた後に、当時の一流時評文書き4名を紹介す…

妹はジョルジェット

K-Aさま、コメントをどうもありがとうございました。 こちらこそ今年もよろしくお願いもうしあげます。 試しにツイートしてみたのですが、埋もれてしまったかもしれません。 ルブランの出生証明書、原文トランスクリプトしてみましたので、 よろしければメー…

モーパッサン、アグレガシオンの課題に

一月前。おお大変だ。 すでに旧聞に属するけれども、 10月号の『マガジン・リテレール』はLe Mystère Maupassant「謎の人モーパッサン」と題する モーパッサン特集号であった。 これは来年のアグレガシオン(中高等教育教授資格試験)の課題図書の中に、 『…

旅人かへらず

しばらく前にFさんにご教示いただいたもの。 二一 昔の日 野ばらのついた皿 廃園の昼食 黒いてぶくろ マラルメの春の歌 草の葉先に浮く 白玉の思ひ出 無限の情 (西脇順三郎、『旅人かへらず』(1947)、『Ambarvalia / 旅人かへらず』、講談社文芸文庫、1995…

ニヒルなひと

今日、ふと「ああこれがニヒリズムということなのか」と納得してしまったので、 そのことを記す。 モーパッサンの作品について考えていると、その大きな特徴として 価値の相対化というものに突き当る。 モーパッサン、あるいは極めつけの相対主義者。 そこに…