えとるた日記

フランスの文学、音楽、映画、BD

読書

文明の衝突

サミュエル・ハンチントン、『文明の衝突』、鈴木主税 訳、綜合社、1998年(4刷) お盆の間に読んだ本。 話がたいへん大きいので割合と面白く読めたのだけど ちと話が分かりやすすぎるように思われなくもないが、 西欧文明は普遍的なものではない、という著…

本が崩れる

草森紳一、『随筆 本が崩れる』、文春新書、2006年(2刷) これは凄くて、ほんとに本が音を立てて崩れるお話なのである。 私の部屋も本が崩れるが、しょせん三十センチぐらいなので、 可愛らしいものだ。部屋の写真が掲載されていて、それを見ると ほんとに…

冬の夜ひとりの旅人が

イタロ・カルヴィーノ、『冬の夜ひとりの旅人が』脇功 訳、ちくま文庫、1995年 ご縁あって文庫本で再読。 この小説の書き出しは抜群にうまくてぐいぐい読まされてしまいながら、 小説を読むとはどういうことなのか、書くとはどういうことなのかを巡る、 「読…

マラルメの火曜会

柏倉康夫『マラルメの火曜会 世紀末パリの芸術家たち』、丸善ブックス、1994年 マラルメと交流のあった芸術家たちの肖像を 大変分かりやすく理解できる本。マネやドビュッシーやルドンはともかく、 ゴーギャンとベルト・モリゾの話は全然知らなかったので驚…

夜の樹

トルーマン・カポーティ『夜の樹』、川本三郎 訳、新潮文庫、2007年(18刷) 脈絡はあるのだけれど、間が空いてしまった。ようやく読了。 新潮文庫の『ティファニーで朝食を』、龍口直太朗 訳には、表題作の他に 「わが家は花ざかり」「ダイヤのギター」「ク…

猫とともに去りぬ

ジャンニ・ロダーリ『猫とともに去りぬ』関口英子 訳、光文社古典新訳文庫、2006年 家族に相手にされない隠居老人が、「猫といっしょに暮らすんだ」と家を出ると、 ほんとに猫になってしまい(まで2ページ)、おやおやと思う間もなく、同じく家出 した猫先生…

漫画の奥義

手塚治虫『漫画の奥義 作り手からの漫画論』聞き手 石子順、光文社知恵の森文庫、2007年。 手塚治虫は筋金入りの漫画少年だったということがとてもよく分かる。 軍需工場で殴られながら漫画を描いていたという話には頭が下がりました。

フランス現代史

渡邉啓貴『フランス現代史 英雄の時代から保革共存へ』中公新書、1998年。 とりあえず目下のところ、頑固一徹硬派の中公新書を一押しなのである。 それはそうと、第五共和制より第三共和制についてのほうがまだ明るい、というのもどうかと 思われるわけで、…

六の宮の姫君

故あって 吉田精一「芥川龍之介」、『吉田精一著作集』第一巻、桜楓社、1979年 を読んでいたら、むくむくと読み直したい欲望が湧き起り、 手元の本は倉庫で眠っているので(発掘は容易ではなし)、古本屋で購入(なにやってんだ) 北村薫『六の宮の姫君』、…

海辺のカフカ

村上春樹『海辺のカフカ』上下、新潮文庫、2007年(22,20刷) 怒涛の勢いで再読終了。私はこの本に「大公トリオ」を教えてもらったので それだけでもありがたい本。 しかしながら 1 自分がなぜ村上春樹を読むのかいまだに分からない 2 「世界中」の人がな…

音楽史あれこれ

岡田暁生『オペラの運命 十九世紀を魅了した「一夜の夢」』中公新書、2006年再販 岡田暁生『西洋音楽史 「クラシックの黄昏」』中公新書、2006年(4版) 伊東信宏『バルトーク 民謡を「発見」した辺境の作曲家』中公新書、2006年再販 備忘録がわりに。 岡田…

初恋

トゥルゲーネフ『初恋』沼野恭子 訳、光文社古典新訳文庫、2007年(2刷) 私によく分からないのは、 翻訳者が断言しているので弱ってしまうのだけれども、 「ジナイーダの初恋の相手がウラジミールの父」だった、というのでいいのだろうか、ということ。 確…

『カラマーゾフの兄弟』続編を空想する

亀山郁夫『「カラマーゾフの兄弟」続編を空想する』光文社新書、2007年 これはすごい本で、限られた状況証拠を綿密に検証しながら、文字通り、書かれなかった 「カラマーゾフ」の「第二の小説」の内容を推定してゆく様は見事なものだ。 俗に言う推理小説的面…

敵あるいはフォー

J・M・クッツェー『敵あるいはフォー』本橋哲也 訳、白水社、1992年。 『マイケル・K』の後がこれということにびっくりする。 これまでも分からないところはいろいろあったけど、今度のは本当によく分からない作品で、 メタフィクション的な仕掛けがうま…

戦後少女マンガ史

とかいいながら読書ははかどっていたりするわけですが。 米沢嘉博『戦後少女マンガ史』ちくま文庫、2007年。 1980年刊行の「著者の伝説のデビュー作」の再刊。 なにが凄いって戦後35年間の少女マンガを全部読んでいるのではないかと思わせる情報の膨大さ。 …

マイケル・K

J・M・クッツェー『マイケル・K』くぼたのぞみ訳、ちくま文庫、2006年。 絶対的に自由であろうとすること、あるいは可能な限り関与から遠ざかろうとすること。とその苛酷さ。 そういう主人公の生き様が否応もなく暴力の存在を暴かずにはいないということ…

すてきな詩をどうぞ

そこで買った内の一冊。 川崎洋『すてきな詩をどうぞ』ちくま文庫、1995年。 本職の詩人がよい詩を選んでいるのでどれもよい詩なのは当然ながら 素人の私にもよくわかる詩ばかりなのが嬉しい。 その場の思いつきの感想(そりゃ私のことだ)でない解説も丁寧…

夷狄を待ちながら

J・M・クッツェー『夷狄を待ちながら』土岐恒二 訳、集英社文庫、2007年(2刷) 「読みやすさ」から言うと『恥辱』よりもずっと固い。中身は同じくらいハードで。 帝国主義下の辺境(植民地)における支配と被支配とそこに顕在化する暴力の問題 といって何…

恥辱

脈略もなく唐突に現代文学を読む。 J・M・クッツェー『恥辱』鴻巣友季子 訳、ハヤカワepi文庫、2007年。 実にハードな作品にくらくらする。 19世紀のリアリズム小説にはなんだかんだ言ったって、作者の側に尊ぶべき理念があった。 その限りでそこには一種…

香水

パトリック・ジュースキント『香水 ある人殺しの物語』池内紀 訳、文春文庫、2007年(10刷)。 開放感にひたって本屋で購入して電車で読み始め、 たいそううまいし、訳文がまたとても生きがよろしいので、すいすい読んでしまう。 なんとまあ奇想天外な物語な…

スイート・ホーム殺人事件

福永武彦が早くから褒めていたと思うけれど、私が購入したきっかけは別の人の書評だった 気もして、今となっては思い出せない。というぐらい前に買った本。 クレイグ・ライス『スイート・ホーム殺人事件』長谷川修二 訳、ハヤカワ文庫、1994年(14刷)。 原…

妻を帽子とまちがえた男

お茶を濁すわけでもないけれど、他の読書の話。 いわずもがな、オリバー・サックス『妻を帽子とまちがえた男』 高見幸朗 金沢泰子 訳、晶文社、1996年(18刷)。 購入したのはそれこそ10年近く前のことで、ずっと読まずにいて ふと手に取って読み出したら、…

下流志向

内田樹『下流志向』講談社2007年 一つだけ、思ったこと。 『千と千尋の神隠し』が優れて「労働主体」として主体が 確立する様を描いているとするならば、『ハリー・ポッター』 の主人公は「消費主体」的ではないだろうか、ということ。 ただ、それだけ。