えとるた日記

フランスの文学、音楽、映画、BD

偽作つれづれ

今日はそんなに進展(しかし、なにが?)なし。
http://www.gutenberg.org/wiki/Main_Pageにはところで
The Works of Guy de Maupassant, vol. 2,3,4 (of 8)
の3冊が登録されており、とりわけ3巻、4巻には偽作が多数混じっている。
グーテンベルク・プロジェクトは素晴らしいんだけど、こういうブツは
典拠をちゃんと示してほしいものである。タイトルからしてダンスタン版か
とも思わせるけれど、8巻という記述が不明。なんだか分らないけれど、英(米)訳の
世界は、ひたすら同じ翻訳をあちこちの出版社が利用し(て金を儲け)た
んだろう。偽物が紛れ込んでるとは思いもしないで。
従って、日本の翻訳者がそれぞれどの版を使ったかは、もう少し検証する余地がある
気もするけれど、ま基本的に「同じもの」であるようだから、別にいいのかもしれない。


今日読んだのは「妻と愛人」。これがなかなかどうして残酷なお話。
子どもが出来ずに不和になった夫婦が別居するが、妻は夫が帰ってくることを
信じている。二年が経ち、ある日、妻は偶然に一人の子どもを連れた看護婦に会う。
その子を抱いて可愛がるが、なんと夫と新しい愛人との間の子であることを知らされる。
念願の子どもを得た夫は幸福に暮し、もう戻ってくることはないと悟った彼女は
離婚を決意する。
これはなんというか、結構モーパッサン的な作品だといっていい。「子ども」は
モーパッサン作品で重要な要素だし、子どもができない夫婦は例えば「遺産」なんか
にも描かれる。こちらはずっとユーモラスだけれど。全然救いのない落ちも
モーパッサンにはたくさんあるし。
しかしながら読後の印象は微妙に異なる気もするのだけれど、今はまだ
うまく言葉にならない。