えとるた日記

フランスの文学、音楽、映画、BD

シモンズのモーパッサン論

まだ読んでないんだけど。
夏目漱石の蔵書に
Little French Masterpices, Guy de Maupassant, an introduction by Arthur Symons, the translation by George Burham Ives, NY and London, G. P. Putnam's Sons, 1903.
というのがあって、例の「愚作ナリ」の書き込み連発のものである。
で、これが大阪大学図書館に入っているので借りてみるわけだが、
イントロを書いているアーサー・シモンズという人は、以前から気になっているのである。
アメリカ(たぶん)の世紀末から20世紀初頭の批評家として結構有名らしいんだけど、
当然の如く?、彼のモーパッサン論を、少なくとも今日のフランス人研究者は言及したりしない。
ので、私としても長らく気がつかなかったのです。
が、しかし、これが日本には早い時期に入って来ていて(詳細は宿題)、
日本におけるモーパッサン受容に一役買っている気配がある、
ということにも以前から気づいていたのではある。


でもって、山川篤『続 花袋・フローベールモーパッサン駿河台出版社、1995年の一番最後
「第十一章 明治三十年代のフローベール」の注2に、このモーパッサン論のことが出てくる。
邦訳もあるらしいのだが、それはともかく、これによるとシモンズのモーパッサン論は
他にも一章あって(上記書は二章から成る)、三章まとめては、
Arthur Symons, Studies in prose and verse, London, J. M. Dent & Sons, 1904.
で読めるらしいのである。
で、なんとこの本も大阪大学図書館は所蔵しているのである。
ので嬉しがってこれも借り出すわけだが、そうすると
これまた「竹友文庫」であったという話なの。ただし1910年の再版。
藻風せんせ有難や、ということで合掌しつつ、ぜひ読んでみたいと思う次第。
なお、上記「リトル・フレンチ・マスターピース」には偽作なし。
漱石せんせいはひっかかっておりませんのであしからず。