えとるた日記

フランスの文学、音楽、映画、BD

黄金の声

サラ・ベルナールといえば黄金の声なのである。


やんちゃな娘が「女優になるの!」と宣言してコンセルヴァトワールに入り、
めでたくデビューするも鳴かず飛ばずでほっぽり出され、娼婦まがいのよく分からない生活の後、
オデオン座に復帰してコペーの劇で大ヒット。契約期間中にもかまわずコメディー・フランセーズと
再契約。他の役者の反感も構わず、立て続けにヒットを飛ばし、ユゴー『エルナニ』(1877)のドニャ・ソルで
勝利を収め、劇場一の女優と謳われる。それにとどまらず、劇場の待遇が悪いとごねてあっさり退団。
陰では山師と組んで、まずはイギリス、そしてアメリカ征服への旅に出かける。
莫大な収益を上げてル・アーヴルの港に凱旋帰国するのが1881年
というのが彼女の前半生なのであるが、その間に看板役者ムネ・シュリーやギュスターヴ・ドレ、
ヴィクトール・ユゴーとも関係をもって愛憎劇を繰り広げている。とにかくも破格の生涯であり、
まさしく最後のロマン派女優の名にふさわしい。おまけに生きる「宿命の女」みたいなもので、
全ての男は彼女の前にめろめろなんである。例外はただ一人、オスカー・ワイルドだ(ホモセクシャルだったからね)。