えとるた日記

フランスの文学、音楽、映画、BD

なんとなく中休み

一仕事終えて長期的本業に復帰せねばならぬも、なんとなく放心中。
ところで、そいじゃ「モーパッサン」と入れるとどうなのか。近代デジタルライブラリー


1. 欧米近代文豪美文抄 / 津金馨著,実業之日本社, 明45.2
2. 泰西名士と逸話 / 林静太編,小坂書店, 明43.5
3. 大陸作家小品 / 山崎貞訳註他,博文館, 明43.4. - (英語世界叢書 ; 7)
4. 大陸作家小品 / 山崎貞訳註,博文館, 明43.3. - (英語世界叢書 ; 第7編)


うーん。これまた渋い結果だ。3と4はたぶん同じもので、1と3は対訳つきの英語読本であり、
1は「通夜」と題し、『女の一生』のジャンヌの母の通夜の場面であり、3は「フィフィ嬢」の一節。
1の作家紹介は「ゲー、ド、モーパツサン」となっていて、Guy をゲーとしているのは初めて目にする。
新しい。おまけにここで引かれる一節、核心はお母さんの浮気が発覚する後半にあるのに、
その手前までで終わっていて、ここだけ読むと普通のなんかいい場面である。「美文」と謳いながら
翻訳(英訳)ばっかりなのはどうなんだいったい。ちなみにフランスの作家は
ドーデー、フランス、ゴンクール(ゴンコウルツが泣かせる)、フロウベル、ゾラ、ブウルゼー(ブールジェですよ)
という世紀後半の作家で揃えてある。てか全部そうなんだけど。3はフランス人はモーパッサンだけだ。
なるほど。ちなみに2は「モーパツサンの遊猟場」という一文で、モーパッサンが領地に「兎園」を設けていたら
周囲の農家が苦情を言ってきて、モーパッサンが多額の慰謝料を払ってたら、農民はそっちを当てにするようになり、
こっそり兎を放っていた。という小話。はて、出所はタッサールだったかしら。要確認。
ところで従者タッサールのモーパッサン伝は、この頃何度か雑誌に抄訳が出ている。モーパッサン需要は
当然のことそういう二次的文献にまで興味をもたらした、ということに関しては、まともに論じた
比較文学者もいまだいないはず。なかなかどうして英訳を好き勝手翻訳するだけが明治期の受容の全部
だったわけではない、ということは、先日の前田晁の伝記紹介なんかを見ても分かるのである。
という気はするのだけれど。誰か興味を持つ人は出てこないものだろうか。
それにしても1とか3とか、昔の人は文学作品で英語を勉強した、ということがよく分かる話ではなかろうか。