えとるた日記

フランスの文学、音楽、映画、BD

偽作の出所(3)メズロワ(2)

ガリカを離れて素直にメズロワで検索すると、
http://www.miscellanees.com/index.html
に短編が挙がっている。
René Maizeroy - Wikisource
にも同じものが挙がっているのは、多分上から取ってきたのだろう。
おお。さて出所は、
La Fête, Ollendorff, 1893. だ。
ここに掲載されているのは以下の短編。

1. Le Mauvais mirage (An Unfortunate Likeness, t. 3)
2. Le Frisson nouveau (The New Sensation, t. 3)
3. A l'ombre
4. Parvenu (The Upstart, t. 4)
5. La Vraie et l'autre (The Real One and the Other, t. 4)
6. Celle qu'on n'achète pas

素晴らしい。1,2,4,5 が偽作の出所と判明。3,6 は多分該当しないと思われる。「食後叢書」では5,7巻。
この『祝祭』という短編集の他の収録作品が大いに気になるところだ。他にも該当作品のある確率は高い。
ちなみに6は「金では買えない女」ではなく、要するに「死は購えん」というお話。


これでメズロワ14編。リシュパンと合わせて20編だ。全体の3割というところ。
ところで改めて考えると、イギリス・アメリカでモーパッサン作品集が出ている頃、
メズロワもリシュパンも健在だったのだ。彼らがそこに自分の作品が紛れているのを知って、
怒って追及していてくれれば、謎が歴史の闇に埋もれてしまうこともなかったかもしれない。
海賊版より全然タチが悪いこの盗作話。知らないままの方が幸せだったかもしれないけどね。