えとるた日記

フランスの文学、音楽、映画、BD

ダン(スタン)およびオッド・ナンバー

久し振りに
Internet Archive: Digital Library of Free Books, Movies, Music & Wayback Machine
を覗くと、あらびっくり。
トロント大学から、
The life work of Henri René Guy de Maupassant, Akron, Ohio, St. Dunstan Society, 1903.
が出ているのである。6巻は欠落かな。16巻のリンクが間違ってメーテルリンクの『モンナ・ヴァンナ』に
なってるけど。
おお、と思うが続けてよく見ると、以前はまだなかったカリフォルニア図書館の Dunne の版、
5,6 および、16,17 巻も、すなわちこちらはきっちり全巻揃っているのだ。いつの間に。
これは素晴らしい。
一応言っておくと中身は同じものであるけれど、カリフォルニアの方が豪華版でカラーの挿絵が入っている。


加えて、トロントから、
The odd number : thirteen tales, by Guy de Maupassant. The Translation by Jonathan Sturges. An Introduction by Henry James, New York, Harper & Brothers, Franklin Square, 1889.
が出ているのも凄い。上田敏が入手し、田山花袋国木田独歩が回し読みして翻訳もしたことで、
日本に入って来た最初期のモーパッサンとして有名な『オッド・ナンバー』である。
ヘンリー・ジェイムズの序文に欠落ページがあるのがちと残念。しかも『オッド・ナンバー』
には第2集まで出ていたことまで分かってなお凄い。


さてさて私としては大変に嬉しいのであり、恩恵を蒙っておいて文句を言うわけではないのだけれど、
世のテキスト電子化の流れの中で、かくして出所不明の66編の偽作もモーパッサンの名前のままウェブ上に
出回ることになり、さながらゾンビのごとく何十年かぶりに蘇生してしまった観がないでもない。
うーむ。厄介な話じゃないか。日本語でぶつぶつ言ってても仕方ないのであり、
いつかもうちっと調査が進んだら出るとこに出て訴えよう。と思わないでもない。
誰かに先を越されなければだけれど。