えとるた日記

フランスの文学、音楽、映画、BD

アンジェリュス完全版

L'Angélus 1991-2006, Association des amis de Maupassant, 2007.
を後ろに控えるかえるである。言うまでもなく。かっこいいぞ。
この15年間に出た雑誌『アンジェリュス』(「お告げの鐘」は
モーパッサンの遺稿の題名)を全部集めたリプリントの集大成で、
編集を務めるのはマルセイユのジャック・ビヤンブニュ。
この先生が半分ぐらいは原稿を書いてはるような、特殊な雑誌ではある。
しかしながら、ここにはこれまで未刊行の書簡や資料が多数掲載されており、
その調査・研究の情熱は半端なものではなく、中にはお母さんのアドレス帳とか
モーパッサンと親しかった、いわくありまくりのエルミーヌ・ルコント・ド・ニュイの手帳とか、
そんなもんどこにあったんですか。というような代物までばんばん出てくる。エルミーヌはモーパッサンの死後に
モデル小説を書いて、これがやたらに売れたらしいんだけど、その後、モーパッサンの母ロールと仲悪かったり
した人で、この人に宛てたモーパッサンの書簡数十通は、遺産相続の際にアメリカで競売にかけられて
その後行方知れず。研究者垂涎の的?となっているのである。ま、どこまで「親しかった」のかはっきり
してください、というような下世話な関心がないわけでもないんだけども。やれやれ。
ま、そういう資料的価値だけでも大層なものでありながら、この雑誌、どこの図書館にも寄贈されていない
頑固一徹ほとんど私家版状態だったものを、この度まとめて刊行と相成ったわけである。といっても
流通経路に乗っているのかどうかは不明です。正直、コピーして製本しただけではある(内緒)。
http://maupassant.free.fr/cadre.php?page=livres
お気になられる方はこちらをご覧あれ。