えとるた日記

フランスの文学、音楽、映画、BD

太宰「思い出」

ふと目に入ったので記しておこう。
太宰治「思い出」(『晩年』所収)の三章の冒頭へん。

(前略)「美貌の友」という翻訳本のところどころカットされて、そのブランクになっている箇所へ、私のこしらえたひどい文章を、知っている印刷屋へ秘密にたのんで刷りいれてもらって、これは奇書だとか、そんなことを言って友人たちを驚かせたものであった。
(『太宰治全集』1巻、ちくま文庫、2003年(7刷)、62ページ。)

おお。これは言わずもがな、広津和郎訳の『ベラミ』ではないか。
『美貌の友』の訳題は「化粧品の名前」みたいだからと、後にはベラミに代えられたのであった。