えとるた日記

フランスの文学、音楽、映画、BD

Atelier Bovary

さて、これは本当に本当に凄いことです。仏文研究者はすべからくぜひこのサイトを見て頂きたい。
http://www.zoulous.com/bovary/
2007年は『マダム・ボヴァリー』150周年だったわけだけれど、それを記念してあまりある
一大プロジェクトの成果がこれである。ルーアン市立図書館に保管されている
なんと4546枚からなる『ボヴァリー夫人』の全草稿がトランスクリプトされて公開されたのだ。
しかも最高に見やすい形で表にそって並べられているので、各シーンの第一段階から
最終稿までの変遷が明瞭に見てとれるようになっている。
このプロジェクトに関わったのは高校生から一般人まで含めて世界中から総数600人、たった二年半で
4500枚強の草稿が全部写し取られたというから信じられない。
さらにたまげるのは、この全テクストを対象として単語検索がかけられるということ。
加えて固有名詞の詳細なインデックスや当時のノルマンディーの地図まで合わせて、
その配慮の行き届きぶりは見事だ。
これは凄い。本当に凄いぞ。
私がフロベール研究者だったら卒倒もんだ。いや凄いって。
しかも生草稿の画像とトランスクリプションを並べて公開することも予定されている
というから、外国に居ながらにして草稿研究を進めることも可能だし、その速度は
圧倒的に加速すること間違いない。
パソコンとインターネットは文学研究の在り方を既に変えてきたし、これからも変えて
ゆくだろうけれど、その一つの成果がこんな形で実現するとは思ってもみなかった。
心底たまげました。ぜひともご一覧あれたし。