えとるた日記

フランスの文学、音楽、映画、BD

2001年宇宙の旅

2001: a space odyssey, 1968
色々あって「2001年」を観たので備忘録。
小説を読んでないので何回観ても最後の意味が分からなかったんだけど、
スターチャイルド」になっちゃってたんですか。そうですか。
それはともかく、今回注目ポイントはやはりHAL9000である。
面白いなあと思ったのは、キューブリックはハルの「視点」からの映像を差し挟んでいる
ということと、ハルの赤ランプ(目なのか)の大映しが、役者の顔のアップと対になって
いる、ということ。そうすることで映画はハルに「人格」を認め、我々がハルに感情移入できる
ように誘導している(そもそもハルという通称は半ば固有名詞化している)。
どっからどう見てもただの赤ランプに、思わず「表情」を読もうとしている自分に驚いたのである。
一方で、ハルはしょせんブラックボックスであるわけで、彼?が何を考えているのかは、結局のところ
よく分からないし、そもそも本当に「人格」が備わっているのかも、考え出すと分からない。
「怖い」と言うから「感情」がある、というほど素朴なものでもあるまい。
感情的な一種の共感の誘発と合理的な不可解性との混淆が、観る者にとっての
ハルの存在をなんとも「気にかかる」ものに仕立て上げている、
という風に私は思ったのでありました。