えとるた日記

フランスの文学、音楽、映画、BD

BD『エラクリウス博士』

J. -S. Bordas, Le Docteur Héraclius Gloss, d'après Guy de Maupassant, Delcourt, 2004.
なんとびっくり、モーパッサンの中でも確実に
一二を争うマイナー作品、わが『エラクリウス・グロス博士』
なのである。こんなものをマンガにしてしまう
人がいるとは思わなんだ。出した出版社もえらい。
絵はけっこうクセがあるけれど、
原作を相当忠実に辿っているところに好感がもてる。
舞台設定はモーパッサンの頃に合わせてあるかな。
コロンバージュの街並がルーアンを思わせる。
それはまったく正しい選択。
慣れないBDをせっせと一読して再認識したことは、
なるほどこの作品は視覚化向きというか
マンガ向きというか、短いエピソードの積み重ねだし、
お猿やら動物大殺戮やらと派手な場面あり、
怪奇物として十分見栄えがするということであった。
ホフマン、ポーの影響というのも、むしろこちらの方が
よく感じられるような気もしてくる。
しかしまあ、よくもまあ、ほんにまあ。ねえ。
気になる方にはなんと、
このモーパッサン、幻の処女作の本邦初訳
(だと思うんだけど、間違ってたらごめんなさい)
が、
モーパッサン 『エラクリウス・グロス博士』
で読めるのです。
って今さら宣伝してどうするのだ。