えとるた日記

フランスの文学、音楽、映画、BD

セビーリャの理髪師

ボーマルシェ、『セビーリャの理髪師』、鈴木康司 訳、岩波文庫、2008年
はじめてちゃんと読む。
喜劇としては大変によく出来た作品で、コメディー・フランセーズでやれば
今でも笑いの絶えない芝居に十分仕上がると思う。駆け引きと勘違いは
マリヴォー的ともいえようが、むしろ上品なモリエールという感じか。
モリエールに比べれば、人物造形が一面的でやや平板か、とも
思われるのではある。そういう意味でいえば、やはり
フィガロの結婚』あっての『理髪師』でありボーマルシェ
なのかもしれない、けどどうだろう。
備忘のために引用させていただきます。フィガロ万歳。

伯爵 誰からそんな陽気な哲学を習ったんだ?
フィガロ 日頃の不幸からでございますよ。涙するのが嫌なばかりに、なんでも急いで笑い飛ばすんで。
(19頁)

そうそう丁寧な解説にも書かれているとおり、ボーマルシェは実人生が
波乱万丈で、ある意味そっちの方が面白かったりして、そういえば
伝記映画もありました。