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えとるた日記

フランスの文学、音楽、映画、BD

文明の衝突

サミュエル・ハンチントン、『文明の衝突』、鈴木主税 訳、綜合社、1998年(4刷)
お盆の間に読んだ本。
話がたいへん大きいので割合と面白く読めたのだけど
ちと話が分かりやすすぎるように思われなくもないが、
西欧文明は普遍的なものではない、という著者の覚めた認識は
なかなか大したものとは思うのである。たとえばこんな感じ。

非西欧人にとって西欧人が普遍的と考えるものは西欧的であるにすぎない。メディアの世界的な拡大に見られるように、西欧人が良心的な世界統合の手段として先導するものでも、非西欧人は西欧の邪悪な帝国主義だとして非難する。非西欧人は世界がまとまることを脅威と見なすのである。(92頁)

(たいそう歯切れよく、実際まあそんなもんかもしれないにせよ、
しかしまあ極論という感じは否めない。)
それはそうと、
最終章に至って本音が出るというか、なんというか、
要するには西欧(てかアメリカ)はいかにして生き残るべきか
という提言の書なのではあった。ま、著者の経歴からして当然なんだろうけど。
翻訳出てから20年、批判喧しかった本書の理論が今どれほど受け入れられて
いるのか私が知る筈もなく、へえへえほうほうと読んだだけなのだけども、
文明の衝突」という見方があたっているかどうかよりも、本書が出たことによって
結果的にそのような見方が広まってしまったことが、必然的にもたらすであろう
弊害というようなものが想像されるわけで、それはあんまり嬉しいことでも
ないように思ってみたりもする。少なくとも、文明の衝突は不可避であるという
著者の認識が、的をはずしていることの方を、私としては心から祈りたい。