えとるた日記

フランスの文学、音楽、映画、BD

シルヴィウス

ああ8月が終わる。
それはそうと、
シルヴィウス 「ギ・ド・モーパッサン」
を公開。
5か月ぶりの翻訳がこれとはチト寂しいが、まあ
お読みいただければこれ幸甚。
原文も合わせて載せてみるものの、
http://www.maupassantiana.fr/Revue/Rubrique_Qui_sait.html
に既にベナムー先生が載せておられるのであった。ちと残念。
で、それによるところのナディーヌ・サチア氏によれば、このシルヴィウス
なる人物の正体は、Léon Valade (1841-1884)ではないかとのこと。
ふーん、それって誰ですか。というようなものではあるけれど。
しかしどうやって分かったんでしょうか、むしろそれが知りたい。
ところで詩の中にジョルジュ・オーネが出てくるのだけれど、
ふと検索してみたら、
http://www.geocities.jp/ecrifranoubli/index.html
こちらに到達する。
以前から変わったことをされている人がいるものだと思ってましたが、
これはまたなかなか凄い。感謝を込めてここにご紹介させて頂きます。


アシェット社がいわゆる駅のキオスクでの書籍販売で大きくなったというのは
19世紀フランス文学に関する豆知識の一つであるけれど、
そこが「こんなやらしいもの売れん」と、モーパッサンの『女の一生』の
販売を自粛するに至って、モーパッサンは俄然抗議に燃え上がる。
地方にはこの駅売り以外に本屋がない町もある、と記事で述べている
ほどなので、当時重要な販売拠点であったことは間違いなく、
作家としてこれほど「痛い」こともないわけである。こういう時に
モーパッサンを怒らせると、彼の行動力は半端ではないのだ、
ということがよく分かる些細な事件。「売文屋」と一部に批判される
理由はこの辺りにもないわけではないにせよ、政府でもない一企業が
勝手に検閲するとは何様だ、というのがモーパッサンの正当な言い分
であり、これは言論の自由を求める作家としての当然の行動に他ならない。
「闘う小説家モーパッサン」というところだね。
見事自粛撤回を勝ち取り、おまけにこれがかえって宣伝となって、
女の一生』の売上に貢献した、という説もまことしやかに語られており、
つまるところモーパッサンは商売上手では確かにあった。
ま、シルヴィウスさんの詩はたいしたものでもないけれど、
「『女の一生』を汽車の中で読んだら赤面して大変よ」
というところがしみじみ可笑しい。
いい時代じゃないですか、とか思ってみたりもしつつ。


それはそうと、昨日は御馳走様で、土佐鶴にやられて撃沈。
本日は一日へろへろでござった。