えとるた日記

フランスの文学、音楽、映画、BD

偽作の出所(5)ジャン・リシュパン(2)

括弧の中は例によって、最初が「食後叢書」、次がダンスタン版の巻数。

Jean Richepin, Cauchemars, Charpentier, 1892


1. Pft ! Pft !
2. Une aventure (An Adventure, 7, 3)
3. Immortalité
4. L'Homme aux yeux pâles (The Man with the Pink Eyes, 7 ; The Man with the Blue Eyes, 4)
5. La Comtesse Satan (Countess Satan, 6, 3)
6. La Morillonne (La Morillonne, 9, 4)
7. Le Malais
8. Vieille Baderne
9. En moins de temps qu'il n'en faut pour l'écrire
10. Correspondances
11. L'Assassinat du pichet qui piche
12. Ivres-morts (A Night in Whitechapel, 6, 3)
13. Mademoiselle (Mademoiselle, 4, 2)
14. Une bonne affaire (Profitable Business, 6, 3)
15. Violé (Violated, 6, 3)
16. Jéroboam (Jeroboam, 6, 3)

16編中9編が、偽作としてモーパッサンの作品集に紛れ込んだものということで
間違いないと思う。Dunne 版との照合済み。
なんとあの「悪魔伯夫人」はジャン・リシュパンの作品だったのだ。


そういうわけで現在までに確認されたのは以下である。
Jean Richepin, Truandailles, 1890 より7編
Jean Richepin, Caucehmars, 1892より9編
René Maizeroy, Coups de coeur, 1889より10編
René Maizeroy, La Fête, 1893より10編
それから
René Maizeroy, Le Mal d'aimer, 1882
の内の1編を確認済みだが、別の版に所収のものが使われたに違いない。
メズロワは短編の「使い回し」をけっこうよくやっている。
ちなみにモーパッサンは1度もやっていない。なかなかどうして
そんなところに作家の職業倫理が窺われてしまうのだな。
それから
Sacher-Masochの1編だけはとりあえず確実とみてよく、この金脈はなんとかしたい。
ということで、とりあえず偽作の正体が確認された数は、
なんと66編中38編、率にして約58%になる。
かくして私はインターネットの時代を寿ぎたいと思うわけである。
が、そういつまでも逃避しているわけにはいかないのである。
ひとまずメズロワ到着まで、この件はおいておく。
改めてKさんには心から感謝を。