えとるた日記

フランスの文学、音楽、映画、BD

混乱のきわみ

苦役のごとき気の重たい仕事をようやく終える。


さながら共同作業のようになってきましたが、
Kさんのご指摘のおかげで、「愛の暴落」(私訳)の仏語訳が見つかる。まいどおおきに。
Krach en amour - Leopold von Sacher-Masoch
いささかあぶなげなサイトですが、仕事は律儀。そのまま貼り付け。
Leopold von Sacher-Masoch, Les Batteuses d'hommes, Nouvelles posthumes, Première édition : R. Dorn, Paris, 1906 ; Seconde édition (texte enrichi de planches et d'une couverture illustrées) : J. Fort, Paris, 1909.
ふーん。仏語題は "Krach en amour" と。ほーらクラックだ。
ま、冷静に考えると「恋の破産」とか、あるいは「大損の恋」とかなりますでしょか。
1906年初版なので、「食後」がここからとってきたことはありえない。ところで、
oeuvres posthumes は普通は死後刊行の「未刊作品」だと思うのであるが、
それより先に、他人の英訳作品集に入っていたとは、これいかに。
ま、実際のとこは「フランス語版としては死後初刊行」という以上の意味はないのだろう。
しかし、話はそんなところに留まらないのである。
何に驚くって、ああた、"Les Batteuses d'hommes"(男を叩く女達)という表題作は、
ルネ・メズロワの La Fête, 1893 の中に入っているのである。
1906年にも、1909年にもメズロワはまだ生きている。生前に、自分の国で出た
外国人作家の作品集の、しかも表題作に自分の作品が使われて、一体どうするんですか。
もはや何が起きているのか、私にはまるでついていけまへん。
幸いなことに、この作品はモーパッサン「食後叢書」には入らなかったけども、
しかし何なんだねこれは。
と、本題とは別のところで、事態は紛糾する一方なのであった。