えとるた日記

フランスの文学、音楽、映画、BD

フレンチ・カンカン

French Cancan, 1954
ジャン・ルノワールが戦後フランスに帰ってきて、
「フランス的」な映画を作ろうと思ったときに、選ばれたのはフレンチ・カンカンであった、と。
1889年のムーラン・ルージュ開店を題材にしたこの映画がなんぼほど
実話をもとにしているのかはよく知らない。実にまあ他愛のないコメディで、
まじめに考えるとえらいこと爛れたベル・エポックの世界ではあった。
しかしまあよく分からないのはフレンチ・カンカンなるものである。
当時ほんまにこんなに派手だったのかもよく分からないが、
トゥールーズロートレックに騙されてはいけなくて、
要するにはすこぶる品のない売り物だった、ということでよろしいのか。
まともな女性は足なんか見せてはいけない、という社会的禁忌が
やけっぱちなまでに弾けたらこうなった、ということにしても、
どうにも理解しきれない文化の違い、なのか何なのか。
ジャン・ギャバンはすっかり恰幅のいい、いいおっさんでござった。