えとるた日記

フランスの文学、音楽、映画、BD

キムチ

ウーク・チャング、『キムチ』、岩津航 訳、青土社、2007年
めちゃ面白いからお勧めです!!!
と、あからさまな宣伝を今になってぶってもしかたあるまいが、
読んで仰天、私の出身研究室が思いっきりそのまんま舞台なの!
「小林教授」にモデルがあるとすればあの先生しかないのもびびるが、
研究発表の後に「あばれんぼう」で飲み会って、そのままやないの!!
(本では「暴れん坊」となってますが、確かひらがなだったような、
今は既に学習塾となってしまって久しい、あの懐かしの「あばれんぼう」!)
ガード下の踏切に、赤い橋まで出てきちゃってからして、
話に聞いてはいたものの、これにはのけぞった。
私は著者と同時期にはまだ居なかったのであるけれど、それにしても
なんにしても、読んでいて、これはえらいこと恥ずかしい。
自分が過ごした場所が小説に書かれるって、こんなこととは知らなんだ。
身辺に私小説家がいたりしたら、さぞかし心境穏やかならずというものだろう。
韓国人として横浜に生まれ、カナダで育ったコリアン・ディアスポラが主人公の、
もっぱら日本を舞台にした本作品は、著者の経歴からして、
フランスでも未だ流行衰えないらしいオト・フィクションの部類であろうが、
一体どこまでほんとにあったのよ、と思わず考えてしまったりしたら大変です。
たぶん、その実ほとんどフィクションなんだと思うんですけど(というかそう信じたい)。
私にはとても冷静な判断なぞ下せませんでしたとさ。かえるにならってお手上げです。