えとるた日記

フランスの文学、音楽、映画、BD

ロマン派演劇は売れたのか

月一ネルヴァルの日。
1840年6月7日付「プレス」紙の劇評、の途中。
ポルト=サン=マルタン座(『ヴォートラン』が不道徳の廉で二日で公演中止になった後で閉館)と、
ルネサンス座(オペラ座とオペラ=コミック座の座長に訴訟起こされて、5月1日閉館)が
閉館してしまったのは、人の言うように「文学的な」芝居の客入りが悪いからではなく、
反対に「文学的な」芝居は実入りが良かったのだ、というのの数字を挙げての主張。
たとえばポルト=サン=マルタンは1839年の年間収入46万5770フランと85サンチーム、とか。
というわけでユゴー、デュマの芝居を擁護する一文なりと。
そうか、ユゴーはもちろん、デュマの芝居も「文学的」と考えられていたのね、とか、
色々学ぶこと多し。分からん固有名詞続出には泣きますが。
私の基軸年は1880年なので、一昔ふた昔前のお話を聞いているようで、楽しい。
この年にはコメ=フラで『エルナニ』をやってるし、フレデリック(・ルメートル)とか
ルメートルといえばジュールであり、デュマといえば、子どもの方なのが80年代)
普通に出てくるのが感動的。バルザックがまだ生きているなんて、すごいわ、
と常人には理解できなかろう、ひそかな感慨があるのでした。