えとるた日記

フランスの文学、音楽、映画、BD

リシャールを読む

夏季集中読書会と称して、
Jean-Pierre Richard, L'Univers imaginaire de Mallarmé, Seuil, 1961
の序文を読み始める。
往年のヌーヴェル・クリティックとは何だったのかを今、問いなおす
という遠大な理想があるわけでは、実はそんなにもないけれど。たぶん。
難解な詩句の字義的解釈と、「絶対」の形而上学の探究との
両極に分かれたマラルメ読解の現状において、
両者の断絶をいかに架橋するかが問題である、と1961年のリシャールは説き起こす。
それはマラルメ自身が世界の読解を試みた、その彼の方法を、
マラルメの作品そのものに適応させること。
マラルメ自身こそが我々にマラルメを理解させてくれるのである、と。
そしてそれは全体との関係を通して細部を見ること、
作品という一個の世界内の「関係」と「構造」とを明らかにすること、である、と。
たぶん、そんな出だしで。
おもむろに有名な文句の引用。

La poésie est l'expression, par le langage humain ramené à son rythme essentiel, du sens mystérieux des aspects de l'existence: elle doue ainsi d'authenticité notre séjour et constitue la seule tâche spirituelle.
Lettre à Léo D'Orfer, 27 juin 1884, in Mallarmé, OEuvres complètes, Gallimard, "La Pléiade", t. II, 1998, p. 782.
詩とは、その本質的リズムに回帰した人間の言語による、存在の複数の側面についての神秘的な意味の表現である。それによって詩は我々の存在を正当なものとし、そして唯一の精神的責務となるのである。

夜は焼き鳥。