えとるた日記

フランスの文学、音楽、映画、BD

推理小説の源流

小倉孝誠、『推理小説の源流 ガボリオからルブランへ』、淡交社、2002年
文字通り推理小説の「源流」を社会学的に考察した上で、
コナン・ドイル以前にエミール・ガボリオがいた、とガボリオ復権を志す書物
論証に引かれている書物が豊富かつ的確なところに頭が下がり、とても勉強になる。
ルブランについては駆け足気味の概論なところがやや惜しまれるか。
その中で現代性、とりわけ「速度」に注目するのは極めて正しい。
実際、バイク、自動車、鉄道、飛行機に潜水艇まで、リュパンは飛ばしまくるのであり、
まさしく「スピードと運動と開放性の世界」(194頁)に生きる人物だ。


そろそろ観てもよかろうかと。