えとるた日記

フランスの文学、音楽、映画、BD

ガン・ホー

Gung Ho, 1986
といいながらおもむろにガン・ホー。ロン・ハワード監督。
ずいぶん無茶な作りながら、きっちりまとめてそれなりに納得させてしまうところ、
なかなかよく出来た映画ではある。
にしても日系人のしゃべる日本語のぎこちなさは、
日本語母語話者からすれば、なんというか異様ですらあり、これは要するに
この映画は日本人にも観られることを、はなから考えていないのだろう。
つまるところは、アメリカ人のための、アメリカ人を描いた映画である、
というのが前提なのではあり(その限りにおいていえば、相手は日本人でなくても構わないはず)、
そういう作品を、描かれる当の他者の目から観るというのは、複雑なものではある。
80年代になって、カーペットで靴脱ぐ日本人もよもや存在せんかっただろうけど、
そんなことは、映画を撮ってる人だって、おそらくは知っていたのだ(希望的観測なのか)。
タイプといいカリカチュアといい、つまりはそういうものであり、そういうものとして
流通しつづけるものなのだろう。それは既に「誤解」ではないのかもしれない。
結局、「日本人」や「アメリカ人」と区切った時点で、既にそれは多かれ少なかれ「幻想」
なのであれば、「ありのままの日本人」を描くということは恐らくは不可能なのかもしれず、
「日本人」の表象とは、誇張されたステレオタイプでしかありえない、のかもしれない。
というように思ってもみる。だとすれば、あとは程度の問題でしかない。
それにしてもアッサン・モーターズが「圧惨自動車」なのには恐れ入る。
これは日本語を分かってる人の悪戯なんだろうか。