えとるた日記

フランスの文学、音楽、映画、BD

上海特急

Shanghai Express, 1932
監督はジョゼフ・フォン・スタンバーグ
1931年、動乱下の北京―上海間特急(三日かかる)に起こる事件で、
まあ共産党が悪役という感じで出てくる。
いわずと知れたマレーネ・ディートリッヒのためにあるような映画であるが、
目下の私はもちろんのこと、アンナ・メイ・ウォンとワーナー・オーランドが観たい。
アンナ・メイ・ウォン(三世の中国系アメリカ人)は悪役ではないが、
しかしあんな汚れ役なんて許せない、と思う。
ワーナー・オーランド(スゥエーデン生まれ、中国人の役をたくさん演じた)は
白人と中国人の混血ながらアイデンティティーは中国にあるという人物役で、
悪役であるが貫禄は十分で、これがマレーネ扮する上海リリーに迫るところは、
いかにも怪しい東洋人という役どころであった。
この人が演じるフー・マンチューチャーリー・チャンがぜひ観たい。
しかしなぜこの人が「中国人」として受け入れられたのか、私にはぜんぜん分からない。
ほんまにどうでもよかったのか、それとも彼には「中国人」らしいリアリティーが
感じられたのか、そこんとこがまるで判断つかないのである。謎だ。