えとるた日記

フランスの文学、音楽、映画、BD

ボードレールの墓

月一マラルメ
1894年に書かれ、1895年元旦の『プリューム』誌
96年刊行の『ボードレールの墓』所収。
もう勘弁してください、としみじみ思いつつ、訳のつもり。

シャルル・ボードレールの墓


埋もれた神殿が曝す その墓のような
排水口から泥とルビーとを垂らして
忌まわしくも どこかのアヌビス神の偶像を
顔全体が残忍な咆哮のごとくに燃え立っている


あるいは、最近のガス燈がくすんだ燈心を捻じる
人も知るように 被った恥辱を拭う女
ガス燈が逆上して火を付けるのは、不死の恥丘
その飛翔はガス燈に沿って街路に寝起きする


夜を知らぬ街において どんな奉納の葉が
祝福することができるのか 彼女が再び腰をおろすように
空しく ボードレールの大理石に身を寄せて


震えながら 不在のそれを包むヴェールをまとう
それを 彼の「影」そのものを 保護者たる毒
もし我々が死ぬとしても たえず吸うべきものを

アヌビス神古代エジプトの犬神で死神です。