えとるた日記

フランスの文学、音楽、映画、BD

ダンス・ウィズ・ウルヴズ

Dances with Wolves, 1990
ケビン・コスナー監督・主演。
たしか映画館で観たと記憶するのだが、あれはもう18,9年も前のことなのかしら。
最前線に送られた白人男性が、次第にスー族の中に溶け込んでいく過程で、
アメリカ原住民の生活の様を見て、これを理解すると同時に、
観てる者もスー族の側から、攻め寄せてくる白人の暴虐ぶりを眺めることとなる。
アメリカ映画もやっとここまで来たのね、という記念碑的作品。
という図式ばかりが頭を占めてしまっては、どうにもならんねえ。
ダンバーは最後部族から離れて山奥に消えていくわけであるが、
ひとたび越境した者とは、帰ることままならぬだけでなく、
向こう側に溶け込んでしまうこともできない、ということなのか、どうか。
というよりも両者の対立の狭間に立たされた彼は、双方から身を引くという
解決の手段を取るわけではあるが、それはしかし逃避というものであり、
彼個人にとってはやむをえないにせよ、問題は置き去りのままである。
犠牲を払って助けてもらっておいて、それなのか、という気がしないではない。
制作者の良心を認めるにやぶさかでないのであるけれども、
この映画が『ソルジャーブルー』よりもさらに「前進」(というものがあるとして)
したというのは、はたしてどうなんだろうか、と考えてみる余地が、
実のとこあるのではなかろうか。
どうなんだろう。