えとるた日記

フランスの文学、音楽、映画、BD

パッチギ!Love&Peace

井筒和幸監督、2007年。
ストレートの物語をどっさり詰め込んだあつい作品で、
エンターテインメントに徹する潔さとはかくあるものかなと。
キャストが入れ替わって続編の必然性が薄いのだけれど、逆にいえば
二番煎じにならない独立した作品に仕上がっていて、
今回は在日朝鮮人の家族の物語にはっきり焦点が当てられているので、
その分、差別の問題が前面に出てくることにはなる。
そのために差別する日本人と差別される在日朝鮮人、という構図が固定的となっていて、
藤井隆はいい演技をしているけれど、東北の孤児院育ちの佐藤君は、
彼自身がマイノリティーに近い立場にいる存在、という位置づけなのは明確だ)
それが現実なんだと言われるのなら、私には何も言えないのだけれど、
物語の作りがいささかあざとく感じられるということはある。
前作は「間に立つ」青年の恋愛物語であったから、多くの日本人にも好意的に受け入れられたのだと
思うのだけれど、その前向きさに比べると、今作は「後ろ向き」の感が強い。
歴史を語るというのは、後ろ向きなこと、ということにはなるまいと思うのだけれど。
むつかしい。
なんにしてもど真ん中直球を投げ込む監督さんですな。