えとるた日記

フランスの文学、音楽、映画、BD

自転車あと一周

本日が13周目。こけずにここまで来られたぞ、と。
ちなみに先週は『サヨナラ』と『ブラック・レイン』(ゲイシャとサムライとヤクザ)で、
今週は『ロスト・イン・トランスレーション』と『ガン・ホー』。


あらためまして竜之介さんにはコメントありがとうございました。
好きというか、まあ半分以上仕事で映画を観ているこの頃ではあります。
13歳で『鬼火』というのはすごいなあ。さぞインパクトがあったことでしょう。
私は二十歳ごろ観ましたが、うーんと、まあ苦手なんですねああいうのは。
サティだったんですね。あと、ドリュさんは可哀そうな人だった。


モーパッサンの「みなしご」"L'Orphelin"は、私も気になる作品の一つで、
竜之介さんおっしゃるように、「人の心は闇」を語った怖いお話ですね。
もしかしたら、お母さんの一方的な思い込みに過ぎないのかもしれないけど、
(原文だと自由間接話法的文で、作者の言葉と彼女の言葉との判別がたいへんつけ難い)
そうでないとしたら、少年は果たして何を考えていたのか?
彼女は誰に殺されたのか? 犯人は彼なのか? だとすれば動機は何か?
何一つ分からない。
いやー変な読後感の残る作品です。


『ベラミ』について書き出すとまたとめどがなくなるので
やめておきますけど、
デュロワ君はろくでもない人物なのは、これはもうその通りなんだけど、
ろくでもない人物が易々と成り上がってしまえる、そういう社会とは何なのか。
そう考えると、あの小説には品行方正な人物なんぞ、そもそもどこにもおらへん
ということになるのではなかろうか。であれば、あるのは程度の差でしかない。
石を投げる自信のある者は投げるがよろし。
夏目漱石流に言うと「フランス社会そのものが堕落しておる」
というのが、モーパッサンの「見立て」ではなかったか、と、
そんな風に思います。


ではでは今後ともどうぞよろしく。日々よい読書を。


最後に読んだ本二冊。
李鳳宇四方田犬彦、『パッチギ!対談篇』、朝日選書、2005年
井筒和幸李鳳宇、『愛、平和、パッチギ!』、講談社、2007年。
どちらも読んで良かった。
『LOVE&PEACE』の中で一世のお父さん達は「済州島弁」をしゃべっていて
ソウル辺の「標準語」の人には全然分からへんから、韓国版でも字幕付き
というのは知らなかったなあ。なるほど。