えとるた日記

フランスの文学、音楽、映画、BD

第四の書

ようやくに読み終える。
ラブレー、『第四の書』、宮下志朗 訳、ちくま文庫、2009年
嵐におびえ、クジラにおびえ、パニュルジュはえらいことになって大変なんだけど、
別段彼に罰が与えられるわけでもなんでもなく話がおもむろに終わるところが
さすがはラブレー大先生。
なんにしても膨大な量の古典の引用で、
ユマニスム啓蒙の意図があるようでありながら、あまりに支離滅裂なために
何がなんだか訳が分からないことになって、
かくしてテクストは後世の読解に「開かれた」。
なんにせよ、ええもん食うて、ええ酒飲むより他に良いことが何かあろうか、
と、ラブレー先生は呵々大笑なさっている、のは間違いあるまいや。
なぜか頁を折っておいた個所を開けると、
「すべては腹をみたすため Et tout pour la trippe」(474頁)
と書いてありました、とさ。トリップばんざい。