えとるた日記

フランスの文学、音楽、映画、BD

歴史がつくった偉人たち

長井信二、『歴史がつくった偉人たち 近代フランスとパンテオン』、山川出版社、2007年
1885年にヴィクトール・ユゴーが亡くなった時、
彼の遺体をパンテオンに納めるかどうかで議論があって、
モーパッサンはそれを話題に記事を一本書いている
モーパッサン 『偉大なる死者達』
のだけれど、この本を読んで、なんでそれがそんなに大騒ぎになったのかを納得する。
この時点でパンテオンはまだサント=ジュヌヴィエーヴ聖堂であって、
ユゴーの葬儀をきっかけとして、今一度世俗的に偉人を顕揚する施設に
生まれ変わらせるかどうか、というのが議論の核心だったのだ。
これ以後、共和政下において、パンテオンは偉人の顕彰を通して
国民的統合をはかる政治的モニュメントとしての機能を積極的に
果たしていくことになる。
パンテオンの役割の歴史的変遷を簡明に記述した好著でした。
というわけで、実は描いていたユゴーさんを蔵出し。
ああ、のんびり絵が描きたい。