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えとるた日記

フランスの文学、音楽、映画、BD

ともしび・谷間

チェーホフ

チェーホフ、『ともしび・谷間』、松下裕 訳、岩波文庫、2009年
「曠野」以降の後期の傑作ぞろい。
ニヒリズム世代を問題にした「ともしび」
人を見る目を持たなかった女を描く残酷な「気まぐれ女」
「箱に入った男」「すぐり」「恋について」の三連作、
地方の人々の生きざまを「曠野」より突っ込んで取り上げた「谷間」
いずれも大変印象深い。
「僧正」と「いいなずけ」が最後のに作品となった、
ということを知ると、この二作はいっそう意義深くも思われる。
後年のチェーホフ作品には「人生は生きるに値するか」
という問いがある、と個人的には思う。
『かもめ』のソーリン、「犬を連れた奥さん」、「いいなずけ」のサーシャ、
生きたい、と願う人達を描くチェーホフという人は、
でも決して感傷に溺れなることがない。その姿勢に打たれる。
ところで、この本を読んでいて、本気でロシア語を勉強したくなる。
「母なるロシアはでっけえでなあ!」(293頁)
を原語で読めたら、すごくいいだろうなあと思うのだ。