だいたい2年に一度ぐらいやらかしてしまうのであるが、
今日、朝っぱらからコーヒーをどかーんとぶちまけてしまい、いやもう修羅場であったことよ。
我がパソコン、フリッツ君が無事であったのは、不幸中の幸いであった。
『ヴィアン伝』ほか、被害数点。いい色に染まってもうた。
竜之介さん、いつもどうもどうも。
「ロックの娘」はモーパッサン後年の作品で、
犯罪者の心理の変遷を辿っていくところが眼目ですよね。
あえていえば異常心理もの?でしょうか。
「オルラ」なんかとも通じるものがあるように思える作品です。
「合図」とか「助かったわ」とか「ジョゼフ」とか、
女性の側の欲望をも描くモーパッサンはなかなか偉いと思います。
ちくま文庫に入ってるのでいえば「逢いびき」「男爵夫人」「めぐりあい」
と、男と対等にわたりあう女性を何人も登場させていますね。
「助かったわ」はさすがに「普通」ではなかったとは思いますけど、
(『ベラミ』にはデュロワが妻の浮気現場を取り押さえるというエピソードがありますね)
『明日は舞踏会!』にしっかり書かれてるように、当時の上流階級の女性は
結婚してからこそ恋愛ができる、という社会構造になっていたので、
なんつうか、まあ浮気はあって当たり前、みたいなことになっとります。
モーパッサン自身の女性観はどうあれ
(彼とて根本的には男性中心主義から外れているわけではないのですが)
作品の中では、男も女もどっちもどっちで、どっちも問題ある、
という風に描けた作家ではなかったかな、と私は思っています。
読んでない本自慢なら私も負けませんが(はは)、
自慢してる場合でもないのでやめとくとしまして、まあ、
読みたい本がある内は、そうそう簡単に死ねないよね、
ということで、がしがし本を読んでいこうではありませぬか。
で、おおそうであったか、と早速、
エラリー・クイーン編『ミニ・ミステリ傑作選』、吉田誠一 他訳、創元推理文庫、2005年(43版)
を入手しました。
ギイ・ド・モーパッサン、「復讐」、中村保男 訳、p. 274-279.
同、「正義の費用」、中村保男 訳、p. 280-287.
後者は「死刑囚」(『水の上』にも収録)。
ふむ、これは英訳からの重訳なんだろうかどうなんだろうか。
老女は奥のドアをひらき、「ニコラス!」と声をかけた。(279頁)
うーん、ニコラス。いやさ、語末子音は読んではいけませんでした。
そして、Kさん、はるばるフランスからのご訪問ありがとうございました。
さぞ充実した日々をお過ごしのことと拝察いたします。
なるほど、レンヌの出版社 La Part Commune は良い仕事をしているところだったのですね。
いつもながら迅速的確なご教示感謝いたします。
モーパッサンのフロベール論を集めたものも、出版されているようで
すが、しかしそれもフラマリオンの往復書簡集に入ってるんだけど、
しかしまあレンヌの出版社であれば、ルクレールせんせいと関係があるのやもしれぬ。
Jean Guéhenno (1890-1978)
Georges Perros (1923-1978)
Henri Thomas (1912-1993)
で、あってますよね。
幅広く渉猟なさっているところもお見事です。
Paul Féval (père) (1816-1887), (fils)(1860-1933)は、
親父さんだけでも、200冊から著書があるそうですが、
大衆作家はそういうとこ大変ですよね。でもすごくよいご指摘と思います。
ご滞在の成果が形になるのを、楽しみにしております。
なにはともあれ、残りのご滞在、ご健康で、よい日々をお過ごしください。