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えとるた日記

フランスの文学、音楽、映画、BD

ひげ文字を眺める

とにかく、あと一週。


Sacher-Masoch, Soziale Schattenbilder: Aus Den Memoiren Eines Österreichischen Polizeibeamten, Halle: Hermann Gesenius, 1873 (Nabu Press, 2010).
ザッヘル=マゾッホ、『社会のシルエット オーストリアのある警官の覚え書きより』
の復刻版が最近出たのを知り、読めないのを承知で購入してしまう。
これがまた、ハーヴァード大の蔵書をコピーしただけの、味もそっけもない代物。
当然ながらまたしてもヒゲ文字 Fraktur とご対面。
なんぼ眺めていてもらちが明かないので、
とりあえずひげ文字のフォントをインストールしてみる。
うむ。フラクトゥーアの大文字は、曲線美の極致だと思う。
MとかWとか、すごすぎる。
しかしまあ、事態がさして進展するわけでもなく、
やはりただ茫然と眺めるばかりなのであったことよ。


先日、どうせ船便だろうと高を括っていた本がおもむろに届く。
ううむ、shippedしててもフライトであった。失礼つかまつり候。
これは別段、新しい話でもなく、
The Complete Short Stories of Guy de Maupassant. Ten Volumes in One, New York, P. F. Collier & Son Company, n. d.
"Copyrighted, 1903, by M. WALTER DUNNE. Entered at Stationers' Hall, London."
となっている。
おのれはよそから半分かたもらってきておいて、コピーライトもないもんだ。
つまり、ダンないしダンスタンの版の中身を一冊にまとめたものではあるが、
ちゃんと版を組み直しているところが涙ぐましい。2段組み。
しかし、一体何をもって「10巻を1冊に」なのかがまるで分からない。
ダン(スタン)全17巻のうちから短編を拾っているものも、全部ではなく、
順番もまるでばらばら。結果的に偽作もぜんぶ収録されてはいない。
まるで「元の版」は10冊だったような触れ込みだが、根拠がまるでないんである。
お得感を演出しただけなんだろうか。
表紙あけたとこに
Elizabeth Bauman
という名前が書かれていて、
この本を読んだであろう昔日の女性の姿を思うのは、
なんとなくモーパッサン的だなあ、と。
そのうち「彼女」の幻が見え出すのだな、きっと。


というような感じで、遅々たる歩みで外堀を埋めているつもりなのであるが、
まるで手で土をすくっているようなもので、ちっとも埋まりはしないのであることよ。