えとるた日記

フランスの文学、音楽、映画、BD

書く書くしかじか

作品集としての『メゾン・テリエ』にとりかかって一週間。
『詩集』の詩人と「脂肪の塊」の散文家の融合するところに、
この作品集の世界は築かれた、
とりあえず今のとこ、そんな話。


短編集『メゾン・テリエ』は1881年5月に発表されるが、
所収8編ともに春から夏にかけての季節が描かれ、
いたるところにまばゆい太陽がきらめいている。
後の作品集はすべて、基本的に新聞連載の短編を集めたものの中で、
『メゾン・テリエ』は舞台においてもテーマにおいても緊密な統一感があり、
なかんずくは、公けにデビューしたてのモーパッサンの若さと健康が
あふれているところが、すごくいい。
とはいえ、ペシミスティックな世界観は随所に垣間見れるのであるけれど、
しかしそれでも、全体の印象が明るいのは、思えば不思議なことでもある。
ここのとこのキーワードはずっと「社会性」。
人間の存在のありようが「社会」によって規定されているとはどういうことであろうか。