えとるた日記

フランスの文学、音楽、映画、BD

付け焼刃

切れない刀にはがねの焼き刃をつけ足したもの。見た目は切れそうに見えるが、実際はもろくて切れない。(デジタル大辞泉
なるほど。
というわけで相変わらずの一夜漬け読書。
マンフレッド・B・スティーガー、『新版 グローバリゼーション』、櫻井公人他訳、岩波書店、2010年
正村俊之、『グローバリゼーション 現代はいかなる時代なのか』、有斐閣、2009年
塩川伸明、『冷戦終焉20年 何が、どのようにして終わったのか』、勁草書房、2010年
たぶん間違ってるかもしれませんが、
新自由主義経済というのが要するに「弱肉強食」の謂いであるならば、
ゾラやモーパッサンがせっせと描いた世界と、規模が違うだけのことではあるまいか。
と、まあ、19世紀フランス文学研究者なら思うだろう、と。
『冷戦〜』は、ソヴィエト連邦消滅=共産主義の敗北というのは、
事後的に下された一つの解釈であるのに、それを歴史の必然のように見なすことによって、
資本主義ばんざいの20年が過ぎ、その間左翼はがた崩れとなり、
結果、歯止めのかからない自由主義経済の弊害が今になって噴出しているのではないか。
まさしく「何が、どう終わったのか」をきちんと検証しなかったツケを我々は
今払わされているのではあるまいか、というのを論じたもの(たぶん)。
なるほど、なるほど。