えとるた日記

フランスの文学、音楽、映画、BD

ノー・マンズ・ランド

No Man's Land, 2001
ダニス・タノヴィッチ監督。
セルビアボスニアとの戦場の中間地帯に取り残された、敵対する兵士チキとニノ。
兵士ツェラは背の下に地雷を仕掛けられ、身動きするこができない。
塹壕を出れば攻撃される三人の、揺れ動く関係。
不干渉の規則に縛られる国連軍と、むらがってくる報道陣。
自身が戦場を経験した監督だからこその、戦争に対する諷刺と批判は容赦なく、
なんとなく楽観的な展開を予想していた、私の期待はおもいっきし外れて、
その結末に打ちのめされる。


ユーゴ紛争が、結果的に、何本かの優れた映画作品を生み出した、ということの意味を
改めて考えると、それはそれでなんとも悩ましいことではあるけれど、
それでも、「戦争」に対して「表現」によって対峙する制作者達の良心に、
人は希望を見たいものなのかもしれない。