えとるた日記

フランスの文学、音楽、映画、BD

野ばらに吠える

今日一番驚いたこと:今時の若者には「ジプシー/ロマ」とか聞いたことがない人が多い。
今日一番よかったこと:とある町役場では午後4時半にスピーカーから「野ばら」が流れる
のだけど、それに合わせて「うおーん、うおーん」と吠えている犬がいたこと。
なかなか乙なアンサンブルでありました。


そういうわけで付け焼刃読書。
とりあえず一冊ならこれに限る。
水谷驍、『ジプシー 歴史・社会・文化』、平凡社新書、2006年
付け焼刃をはみ出して読んでしまいました、
恐らく今年一番の個人的収穫がこれ。
イザベル・フォンセーカ、『立ったまま埋めてくれ ジプシーの旅と暮らし』、くぼたのぞみ訳、青土社、1998年
こちらはとても全部読めませんのですが軟弱な付け焼刃には。
デーヴィッド・クローウェ、『ジプシーの歴史 東欧・ロシアのロマ民族』、水谷驍訳、共同通信社、2001年
フォンセーカの書は知る人は知る、この分野の必読文献。
90年代半ば共産主義政権崩壊後の混乱する東欧社会における
ジプシー/ロマの人達についてのルポルタージュ
もちろん共感はある(なければとても出来る仕事でない)のだけれど、
外からの冷静かつ抑制された視線は失われることなく、そのバランスがとてもよい。
なんていいますか、ぜんぶ読まなきゃいかんだろうこれは、と思わずにおれない
ひしひしと胸に迫るものがあります。
立ったまま埋めてくれ、なぜなら、これまでずっとひざまずいて生きてきたのだから。
応える言葉がありませぬ。