えとるた日記

フランスの文学、音楽、映画、BD

次いでモークレール

Albert Camus

土佐を満喫して帰る。
四万十川最高。足摺岬感動。
おもむろに一句。
これやこの鰹美味しや土佐の春
感謝のつもりでカミュを描きなおす。
カミュには悪いが、やっぱりこれはヤクザだろう、と。


では本日も宿題。

 M. Guy de Maupassant écrivait bien. Il voyait, faisait voir avec acuité : si ce n'est l'art entier, ni son but, c'en est un précieux don. En le groupe des écrivains d'analyse, il demeure incisif aquafortiste : ce conteur lucide exprimait avec de beaux blancs et de beaux noirs, d'une puissance sobre. Je pense que j'aimerai toujours la sensibilité triste de Notre cœur. Puis, M. de Maupassant avait une vertu : la mélancolie. Elle l'ennoblit présentement, douloureux honneur, d'une des hautaines infortunes pour nous seuls élues : il s'en rehausse jusqu'à signifier l'un de nos destins, et à ce titre il m'est – oui, ce mot seul convient – vénérable. J'ai un secret contentement à témoigner de cela ici. – S. -M. -F. -Camille Mauclair.
(L'Écho de Paris, supplément illustré, 8 mars 1893.)
 モーパッサン氏は上手に書いた。彼は鋭く見るし、また見させた。それが芸術全体ではなく、その目的ではないとしても、その貴重な恵みの一つである。分析派の作家の集団の中でも、彼は辛辣なエッチング画家のままである。この明晰なる短編小説家は、美しい白と美しい黒で、控え目な力強さによって表明した。私はいつまでも『我らの心』の悲しみを帯びた感受性を愛するだろうと思う。それに、モーパッサン氏には一つの美徳があった。それはメランコリーだ。それが現在、彼を高貴なものにしているが、苦しみの多い栄誉であって、ただ我々選ばれし者のみにとっての高邁なる不幸の一つによるものである。彼はそこからさらに身を高め、我々の宿命の一つを意味するまでになり、それによって彼は私にとって――そう、ただこの語のみが相応しい――神聖なのである。私はここにそれを証言することをひそかに喜ぶ者である。――S.-M.-F.カミーユ・モークレール

ちょっとよく分からない箇所があるけど、最後のくだりは
モーパッサンの「狂気」を語ったもので、デカダン気取っている感じである。
カミーユ君、若干21歳。
Séverin Faust, dit Camille Mauclair (1872-1945)
詩人、小説家、美術評論家。マラルメの弟子であり、象徴主義グループの一員として、『メルキュール・ド・フランス』や『ルヴュ・ブランシュ』等の雑誌・新聞に寄稿。ワーグナーのフランス移入に寄与し、前衛美術にも明るかった。ポール・フォールとともに「芸術座」を創設し、リュネ・ポーの「制作座」にも関わる。第二次大戦中はヴィシー政権に肩入れするが、終戦前に没した。詩集に『秋のソナチネSonatines d’automne (1894) 等。
ウィキペディアしか見てません。はい。
最後ので敬遠されがちのようだけれど、しかし実に興味深い経歴で、
もう少し再評価があってもいいのかもしれない、と思わせる。
『ピエールとジャン』以後、『死の如く強し』『我らの心』のモーパッサン
ちゃんと追いかけて読んでいた者の中には、象徴派の近くにいても、
かようにモーパッサンの「変化」を好意的に評価する者も確かにいた。
モーパッサンは現代の動向に敏感だったので、彼の側から象徴主義への理解を示してもいるし、
その作品にも多少なりと実践の跡が窺えないわけではない。
彼もボードレールが好きだった、ということもある。
また一方で、
同じ時代を生きる者同士のこと、ことさらに流派の違いを言い立ててはいても、
実はお互いの芸術に共通するものを見出すことは難しくない、ということがある。
まこと論争は空しく、作品だけがものを言うのだ、と、
モーパッサンなら言うただろうな、とか思いつつ。