えとるた日記

フランスの文学、音楽、映画、BD

レセ・パセ 自由への通行許可証

Laissez-passer, 2002
ベルトラン・タヴェルニエ監督。
これまで知らなかった作品を、たまたま見つけて鑑賞。これがすこぶる素晴らしい。
第二次大戦中占領下のフランスにおいて映画を撮り続けた男達の物語。
主役は二人のシナリオ作家で、一人はレジスタンでありながら、
ドイツ資本の映画会社で助監督の仕事を続ける。
一人はそうした協力を拒み、愛人の家を渡り歩きながら、ペンでの抵抗を試みる。
検閲や物資難の困難な状況の中で、ぎりぎりのところで尊厳を守ろうとする人々の姿が、
美しくも力づよく描かれていると申しましょうか。
正確なことは分からないけれど、彼らは一昔前まで
対独協力者のレッテルを貼られていた人達であったのだろうと思う。
彼らが当時にあって、実はそれでも良心と矜持を持って映画の制作に取り組んでいたのだということを、
この作品は訴えている。
そしてそれは確かにそうだったのだろうと思わせる説得力がある。
これは映画制作者達が先達へ捧げた真摯なオマージュであります。