えとるた日記

フランスの文学、音楽、映画、BD

生存確認とフランス・ミステリ

とりあえず生きております。
5月26日(土)がマラルメ。「エロディアード」読み切れず。
先週末、関東遠征。おもに三四郎池をじっくり観賞。
100年の間に、植物が育ちまくり。


この春、文庫で読んだフランスのミステリを順不同で列挙。すべて創元推理文庫
フレッド・ヴァルガス、『裏返しの男』、田中千春訳、2012年
目下「フレンチ・ミステリの女王」の称号をほしいままにするヴァルガス、
順調に翻訳中のようでめでたい。アダムスベルグ第2弾。
セバスチアン・ジャプリゾ、『シンデレラの罠』、平岡敦訳、2012年
新訳が出る。面白くてくいくい読ませます、が。
ボワロ&ナルスジャック、『技師は数字を愛しすぎた』、大久保和郎訳、1960年(新版2012年初版)
新版が出る。ボワロ&ナルスジャックも今や絶滅危惧種と化してしもうた。
ここに挙げた中でほとんど唯一、正当な(ないし英米系と通ずる)ミステリ。がんばってほしいわ。
ジョルジュ・シムノン、『猫』、三輪秀彦訳、1985年(2005年3版)
シムノン、この文庫で生き残ってるのはこれだけか。
これはミステリとくくらないほうがよい小説ではある。
地味に暗いが、しかしいい小説には違いない、たぶん。
カトリーヌ・アルレー、『わらの女』、安堂信也訳、1964年(2011年新版4版)
同、『理想的な容疑者』、荒川浩充訳、1981年(2010年9版)
かつての「フレンチ・ミステリの女王」も、現在この2冊のみかろうじで生存。
大変上手いのだけれども、しかしまあこの後味の悪さはなんだろうか。
最後に、意地の悪さは同じくらいの
ジャン=ジャック・フィシュテル、『私家版』、柳原晃三訳、2000年


これだけのサンプルからフレンチ・ミステリの傾向と対策が
引き出せるものかどうかはよく分からないが、
とりあえず、勧善懲悪という古典的ミステリの定型をあからさまに
否定してみせる作品が目につくのではある。
読み終えて「なんじゃそりゃー」と一人で夜中に叫ぶこと数度。
なんとはなしにロマン・ノワールの影響がそこかしこにあるのだろうな
というような感じはする。
とりあえず、生存確認、終了。