えとるた日記

フランスの文学、音楽、映画、BD

エッフェル塔は5フラン

ご近所のカモさん

写真を貼れることを、おもむろに思い出す。
ご近所のカモさん。お名前は分かりません。


古書市で見つけた本。
Exposition de 1889. Guide Bleu du Figaro et du Petit Journal, 1889.
万博に関しては研究がたくさんあるので、あまり近づかないようにしているものの、
1889年の万博は、エッフェル塔との因縁(?)もあるので、いささか気にかかる。モーパッサンが見たことは間違いない。
とりあえず、ぱらぱらと眺めていると、当然ながら、最初の方にエッフェル塔が詳しく紹介されている。
工事は1887年1月28日に始まった。
使った鉄の重さは7百万キログラム。
階段数は1,792段。
総工費は650万フラン、等々。
入場料は、2階までが2フラン。2階から3階までが1フラン。てっぺんまではさらに2フラン。要するに、一番上まで上るには5フラン必要だった。
この手のひらサイズの本が1フラン。今なら700円から800円くらいかな。
そうすると3,500円から4,000円くらいの感じになる。
うむ、けっこう高い。
ま、そんな小ネタもいつかどこかで使う機会もあるかなと。
ないか。


ところで、最後の方に「塔の使い道」Utilité de la Tourについても書いてある。
1 天体観察 てっぺんにある望遠鏡で、地平線近くの星も観察できます。
  空気が綺麗で、霧も無いので、観察に最適です(素朴だ)。
2 科学的観察 初めて気球以外の方法で地上300メートルの高さで実験ができます。
  空気中の物体の落下。
  速度の変化による空気抵抗の変化。
  弾性の法則。
  ガスの圧縮についての実験。
  振り子の振動についての研究。
  地球の自転に関して、等々。
  (今は物を落としてはいけませんという掲示があったような。
   こういう実験、本当にやったのかしら。)
そして最後がすごい。
3 戦略的観察 戦争の際には防塞から70キロメートル先の敵の動きが観察できます。
  攻囲された場合には、電燈によって地方と交信ができます(弱気だ)。
  télégraphie optiqueでルーアンなどと通信できます。
  (いかにも後付けの説明っぽいような。)

Paris possède désormais un arc de triomphe plus colossal que tous ceux que les peuples ont rêvé pour les conquérants, et ce monument superbe est élevé à la gloire de la science moderne pour le plus grand honneur des Français. (p. 83.)
 今後、パリは、あらゆる民族が征服者のために建造を夢見たどんなものよりも巨大な凱旋門を所持するのである。そして、フランス人にとって最大の栄誉といえるのは、この見事な建築物が、現代科学の栄光のために建てられたということなのである。(83頁)

なるほど、「世界一のものを作った」という事実は、かように愛国心をくすぐるものでもあったろうか、と思わなくもない。
まさしく「万博ばんざい」の時代だったのだなあ。