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えとるた日記

フランスの文学、音楽、映画、BD

ああ、ユゴー

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Le Magazine littéraireの4月号に、「フランスを代表する作家は誰か」というアンケートを取ったという記事が載っている。35人の作家の中から6名までを選ぶ、という形式で、回答者は1,006名(18歳以上)。その結果は以下のとおり。括弧内は%。

ヴィクトールユゴー(63)
モリエール(45)
エミール・ゾラ(37)
ジャン・ド・ラフォンテーヌ(32)
ジュール・ヴェルヌ(32)
ヴォルテール(29)
マルセル・パニョル(27)
アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリ(23)
アルベール・カミュ(17)
ギ・ド・モーパッサン(17)
アレクサンドル・デュマ(16)
オノレ・ド・バルザック(15)
シャルル・ボードレール(14)
ジャン=ジャック・ルソー(12)
ジャン=ポール・サルトル(12)
アルチュール・ランボー(9)
マルセル・プルースト(9)
アンドレ・マルロー(8)
モンテーニュ(8)
シモーヌ・ド・ボーヴォワール(8)
ラシーヌ(7)
ラブレー(7)
スタンダール(6)
エメ・セゼール(5)
ギュスターヴ・フロベール(5)
マルグリット・デュラス(5)
アラゴン(5)
パトリック・モディアノ(4)
パスカル(4)
フランソワーズ・サガン(4)
ドニ・ディドロ(3)
ボーマルシェ(2)
ルイ=フェルディナン・セリーヌ(2)
ポール・ヴァレリー(1)
ステファヌ・マラルメ(0)
無回答(2)

記事は、2位にモリエールが挙がっていること、また、20世紀の作家の筆頭がマルセル・パニョル(今年生誕120周年)であることに注目し、セリーヌマラルメが下位なのはまあ当然だろうと述べている。ははは。
ユゴーとヴェルヌはとくに男性に人気があり、女性に人気なのはゾラであった。
裕福な階層はユゴーモリエールヴォルテールに親しみを持ち、庶民はとくにパニョルを好む。
若者はラ・フォンテーヌとヴォルテールを、年に15冊以上本を読む読書家の間ではアルベール・カミュに人気があった。
最後に、全階層においてユゴーが一番だったとして、この手のアンケートでお決まりの「ユゴー、ああ」というジッドの言葉が引かれている。


ちなみに、我らがモーパッサンカミュと並んで9位に着けている。まあ順当なところであろうか。バルザックに勝った。
眺めているといろいろ面白い結果ではあるが、それはそれとして、この際なので件のジッドの台詞の(例によって)原典を確認しておきたい。
出所は雑誌『エルミタージュ』L'Ermitage、1902年2月号である。
この号の特集は「Quel est votre poète ? あなたにとっての詩人は誰?」という問いを詩人たちにぶつけたアンケートであった。
もともと、このアンケートのきっかけは「ユゴー19世紀の詩そのもだ、なんて言わないでもらいたいね。他にも詩人はいるんだよ」というレミ・ド・グールモンの言葉にあったので、その意味では、そもそもから「ユゴーか、それ以外か」というニュアンスの質問であったようである。
この質問には、125人の詩人が回答を寄せた。

André Gide. - Hugo, - Hélas !
(L'Ermitage, février 1902, p. 109.)

この「ああ」には遺憾の念やらアイロニーやらいろいろ含まれていよう。その名を挙げたくないけれども挙げざるえない作家、ヴィクトールユゴー
いや、まったく、その気持ちはよく分かる。とみんなが思ってはや100年、状況はあんまり変化していないのであった。
ところで、このアンケートの中には次のような回答もあった。

Francis Jammes. - Le poète qui m'émeut le plus, c'est Guy de Maupassant dans ses proses.
(Ibid., p. 134.)
フランシス・ジャム ―私をもっとも感動させた詩人、それは<散文における>ギ・ド・モーパッサンである。

うむ。フランシス・ジャム、いいこと言ってますね。