えとるた日記

フランスの文学、音楽、映画、BD

『即効! フランス語作文』の音声について

レーモン・クノー
 『即効(スグキク)! フランス語作文 ―自己紹介・メール・レシピ・観光ガイド』の音声は、10月末より、iTunes Store でのダウンロードが可能となりました(500円)。FeBeではもう数日かかる模様です。たいへん長らくお待たせいたしましたが、ご利用いただけましたら幸いです。「音声聞くと、もっと『スグキク』!」ことを願っております!
なお録音内容に関しましては、駿河台出版社のサイトより、トラック・リストのpdfファイルをダウンロードしてご覧いただくことができます。
http://www.e-surugadai.com/books/isbn978-4-411-10539-4
http://www.e-surugadai.com/wp/wp-content/uploads/2015/10/10539.pdf
 なお、別売のMP3 CD-ROM(800円)をご要望の方は、たいへんお手数ですがお近くの書店でご注文ください。
 どうぞよろしくお願い申し上げます。


 ついでながらせっかくなので最近描いたレーモン・クノーを掲載。

在るか在らぬか、それが問題だ。登る、降る、行く、帰る、気ぜわしい動きの果てに人間は消滅する。タクシーが彼を連れ来たり、地下鉄が彼を運び去る、塔は気にもかけぬ、合祀廟も。パリは一場の夢に過ぎず、ガブリエルは(すばらしい)幻、ザジは夢の(それとも悪夢の)幻、そしてこの物語はすべて夢のまた夢、幻の幻、たかだか間抜けな小説家が(おっと! 失礼)タイプで打ちまくったうわごとにすぎない。
レーモン・クノー地下鉄のザジ』、生田耕作訳、中公文庫、1974年初版(1999年25版)、108頁)

 リアリズム小説の暗黙の前提であった「フィクションの世界を実在の世界と同等のものとして真面目に扱う」というお約束と軽妙にたわむれてみせることが新鮮だったヌーヴォー・ロマンの時代も、半世紀を優に過ぎた今となってはよい時代だったと、ノスタルジックな感慨にふけりたくもなる。
 それはそうと、原文を見ると、一文目は"L'être ou le néant, voilà le problème." となっていて、『ハムレット』と同時に、サルトルの『存在と無L'Être et le Néant にかけていることが分かる。ふーむ、だとすればこれはいかに訳したものであろうか・・・。そういえば『うたかたの日々』の中でボリス・ヴィアンは『文字とネオン』La Lettre et le néon と書いたのでもあった。