えとるた日記

フランスの文学、音楽、映画、BD

モーパッサン「戦争」(1881年版)

9ケ月ぶりにして本年最初の翻訳を掲載いたします。
モーパッサン 『戦争』
1881年4月10日に『ゴーロワ』に掲載されたほうの「戦争」と題する記事。
83年12月11日『ジル・ブラース』に掲載されたほうは早くから知られていたが、81年のこちらの方は同題で重複部分があるため、研究者からも長らく見過ごされていた一文。実際には重複部分はごく部分的で、フランスのアフリカ植民地政策という、当時のジャーナリスト、モーパッサンの関心を引いた時事的な問題について論評を行っている。この記事から間もなく、モーパッサンは実際に自分でアルジェリアに赴き、植民者と原住民との関係を直接に目にすることになる。
「脂肪の塊」において戦争がもたらす人々の心の荒廃を描いてから1年。作家としての良心にかけて、戦争の「野蛮さ」を告発するモーパッサンの姿がここにある。