えとるた日記

フランスの文学、音楽、映画、BD

小さい本

The Man With the Blue Eyes, and Other Stories, Girard, Kansas, Haldeman-Julius Company, coll. "Little Blue Book" No. 918, s. d.
ミズテンで買っちゃった本が届く。掌サイズの小さな本で64頁。
20年代から30年代に出たものらしいが、例によって翻訳者不明。背表紙には何故か出版者の肖像(いらん)。
流布本の最飛沫みたいなもんだけれど、しかしこれがまた驚く。以下目次。


The Man With the Blue Eyes
The Odalisque of Senichou
The Accent
A Useful House
Virtue in the Ballet
An Honest Ideal
Violated
A Good Match


・・・すいません、本物が一個も見当たらないようなんですけど。
すでに見たことあるタイトルも並んでいるが、それ以外もぜんぶ偽もんだな。冗談みたいだけれど
でも本当の話。


で、これを前記書とちょっと見比べる。
するとなんと、翻訳が違うじゃないですか! つまり偽作は
一種類だけじゃなく、複数の翻訳者が同じ偽作を訳してきたらしい。
昨日の仮説(同じ翻訳をみんなで使い回した)は早くも覆ってしまった。
しかししかし、一体ぜんたい何故同じ偽作品が繰り返し訳されたのか?
そのためには第一に「原作」(フランス語)が存在し、かつそれをアメリカ人は
そろってモーパッサンのものだと信じて疑わなかった、という条件が必要のはず。
当たり前だがフランスで出たモーパッサン作品集に偽作が混じっていたことは、ない。
はっきり言って、私のなけなしの想像力を超えていて、全然理解できません。
あなたがたはいったい、なにをしてきたというのか?