えとるた日記

フランスの文学、音楽、映画、BD

2019-12-01から1ヶ月間の記事一覧

『林檎の樹』

ゴールズワージー『林檎の樹』、法村里絵訳、新潮文庫、2018年 大学を卒業した5月、徒歩旅行に出かけたフランク・アシャーストは、足を痛めて歩けなくなり、近くの農場に泊めてもらうが、そこで出会った娘ミーガンに恋に落ちる。二人は真夜中、花咲く林檎の…

『あしながおじさん』/シャルル・アズナヴール「世界の果てに」

「ガイブン最初の1冊」を探すなかで読んだ本の記録。 ジーン・ウェブスター『あしながおじさん』、岩本正恵訳、新潮文庫、2017年 これは大学生ジェルーシャ・アボットの自立へ向けた成長の過程が、彼女の書簡によって描かれていく物語だ。ジェル―シャの姿は…

『自負と偏見』/ミレーヌ・ファルメール「モンキー・ミー」

ジェイン・オースティン『自負と偏見』、小山太一訳、新潮文庫、2014年 以前から読みたいと思っていた本を読む。初読。原作が匿名で刊行されたのは1813年。 オースティンがどれほど上手かも(冒頭のベネット夫妻の会話から、人物が鮮やかに立ち上がってくる…

『ブヴァールとペキュシェ』/ミレーヌ・ファルメール「悪魔のような私の天使」

ギュスターヴ・フローベール『ブヴァールとペキュシェ』、菅谷憲興訳、作品社、2019年 マラルメは「世界は一冊の書物に書かれるために存在している」と述べた。そのことの意味は、この世界に「意味」をあらしめるのはただ人間の言葉だけであるということだ。…

『カルメン/タマンゴ』/ミレーヌ・ファルメール「私は崩れる」

メリメ『カルメン/タマンゴ』、工藤庸子訳、光文社古典新訳文庫、2019年 『カルメン』については昔にも何か書いたことがあるなあ、と思い出して読み返すと、2010年の記事だった。 カルメン - えとるた日記 『カルメン』は自由の象徴だという読みはまあ常識…