えとるた日記

フランスの文学、音楽、映画、BD

2009-08-01から1ヶ月間の記事一覧

ロスト・イン・トランスレーション

Lost in translation, 2003 上記書に紹介されている、タフトさんによると、 不慣れな文化的環境に慣れようとする努力の緊張感、もといた環境から根こそぎにされたと感じる喪失感、慣れ親しんだ文化的刺激や社会的地位などを取り上げられたという被剥奪感、新…

異文化間コミュニケーション入門

鍋倉健悦、『異文化間コミュニケーション入門』、丸善ライブラリー、2009年(9刷) 異文化間コミュニケーションを学問として考えるための入門書。 文化とコミュニケーションの関係、そもそもコミュニケーションとはどういうものか、 言語はどのよにコミュニ…

翻訳で失われるもの

うだつがあがらないので映画を観る。が、その前に。

リシャール4

今日はなるべく簡単に。 テーマ研究に対してなされうる反論に対するあらかじめの擁護の続き。 まず、それぞれのテーマは歴史的なものであり、マラルメがそれらを発明したわけでは ないのではないか、という問いに対して、リシャールは答える。 確かに、テー…

二十四時間の情事

Hiroshima, mon amour, 1959 考えてみれば私はデュラスもアラン・レネも苦手なのであった。 筋だけとればめちゃ簡単ながら、なかなかどうしてむつかしいなあと。 戦争がもたらした体験を告白する相手が、やはり戦争で傷を負った異国の異性である ということ…

思った以上にむつかし

くて困りました。

インドへの道

E・M・フォースター、『インドへの道』、瀬尾裕 訳、ちくま文庫、2004年(4刷) とりわけ前半は映画が原作にかなり忠実であったようで、 原作を読みながら映画を追いかけてるようで、これは順番まちがえたかもしれぬ。 それはそうとして、 西洋人に捉える…

会議は続く

踊らずに。

ベルギーの友人達の回顧

月一マラルメ。 "Remémoration d'amis belges" は1893年、『エクセルシオール(より高く)』に掲載 (初出時は「エクセルシオールの者達へのソネ」)。 もはや、これは訳とも呼び難いが、せめても読んだという印に。 ベルギーの友人達の回顧 時々に あの微風…

ガン・ホー

Gung Ho, 1986 といいながらおもむろにガン・ホー。ロン・ハワード監督。 ずいぶん無茶な作りながら、きっちりまとめてそれなりに納得させてしまうところ、 なかなかよく出来た映画ではある。 にしても日系人のしゃべる日本語のぎこちなさは、 日本語母語話…

共に働く人たち

1870年代におけるモーパッサンと「自然主義」の関わりようについて 改めて整理しなおそうと努める最中。

トゥルゲーネフ

また三月を越えてしもうた。ということで翻訳。 モーパッサン 『「ニヒリズム」の語の発明者』 見どころはなんといっても、久し振りのデッサンです。違うか。 といっても昔のトゥルゲーネフの改訂版ではあります。原型を留めてないけど。 もはやあんな風に適…

リシャール3

水木連チャンでリシャール。いささかへろへろ。 現実に完全に背を向けたような作品は存在しない、ということから、 リシャールは、どれほど「空」を志向していようとも、マラルメ作品においても 現存するもの、すなわち事物、身体、形体、物質、気質、風味、…

カリオストロの復讐

モーリス・ルブラン、『カリオストロの復讐』、井上勇 訳、創元推理文庫、2007年(29版) 1934年、『ジュルナル』連載後、翌年ラフィットより刊行。 「今は亡き美貌と奸智に長けた悪の華カリオストロ伯爵夫人の恐るべき執念と復讐」 という大変魅力的な主題…

里帰り

12日から16日まで里帰り。 本日、初校校正終了。

ルパン

Arsène Lupin, 2004 ジャン=ポール・サロメ監督。 私の気づいた限りでは、「女王の首飾り」「アルセーヌ・リュパンの逮捕」(されないけど) 「遅かりしシャーロック・ホームズ」(は出てこないけど) 『カリオストロ伯爵夫人』『奇巌城』が脚本に取り入れ…

推理小説の源流

小倉孝誠、『推理小説の源流 ガボリオからルブランへ』、淡交社、2002年 文字通り推理小説の「源流」を社会学的に考察した上で、 コナン・ドイル以前にエミール・ガボリオがいた、とガボリオ復権を志す書物。 論証に引かれている書物が豊富かつ的確なところ…

ガボリオ

そろそろ読んでもよかろうかと。

リシャールの続き

本質的構造にせよ、原初的テーマにせよ、探索されるべきは 「意識」のレベルにおいてである。それは現代の関心と通じるものであるとして、 リシャールが挙げる名は、バシュラール、メルロー=ポンティ、サルトル、 ジャン・ヴァール、ガブリエル・マルセル(…

リシャールを読む

夏季集中読書会と称して、 Jean-Pierre Richard, L'Univers imaginaire de Mallarmé, Seuil, 1961 の序文を読み始める。 往年のヌーヴェル・クリティックとは何だったのかを今、問いなおす という遠大な理想があるわけでは、実はそんなにもないけれど。たぶ…

バーネット探偵社

モーリス・ルブラン、『バーネット探偵社』、堀口大學 訳、新潮文庫、1969年(12刷) これは古くて、新潮文庫がまだパラフィンだった時代物。 久し振りの「わし」がたまりませんな。 1927年、Lectures pour tous に3編掲載。 翌年、ラフィットより刊行時、短…

まだ採点

一日かかってようやく終了。 眠りこけてから、校正のお仕事。

バール・イ・ヴァ荘

モーリス・ルブラン、『バール・イ・ヴァ荘』、石川湧 訳、創元推理文庫、1987年(18版) 『ジュルナル』、1930年連載。翌年ラフィットより刊行。 barre はここでは「砂州」とか「潮」の意味なので、これは「満ち潮荘」とでもいうんでしょうが、 それでは駄…

リュパンかルパンか

一日、採点。ああ気の重いお仕事であることよ。 ところで私としては Lupin は「リュパン」と表記することに拘るわけであるけれど、 「ルパン」という訳語にも、既に長い歴史があるのであってみれば、 これはもう正しいか正しくないかの問題でもあるまい、と…