えとるた日記

フランスの文学、音楽、映画、BD

2010-05-01から1ヶ月間の記事一覧

驚きもものき

竜之介さん、コメントをどうもありがとうございました。 今回書いてくださったことに、私は全面的に同意します (ので、言うことが何にもないぐらい)。 もし、現実というのが酷いものだとしても、 文学においてそれを描かなければいけないということはなく…

馬車が買いたい!

鹿島茂、『新版 馬車が買いたい!』、白水社、2009年 実は旧版を持っていなかったので、どの辺が新しいのかはよく分からないんだけど、 主に19世紀前半のフランス社会の風俗を詳しく説いてお見事で、 この時代に関心のある者にとっては、やはり必読の書。 モ…

身辺整理

ガニマール警部は Sapristi(ちぇっ)とか言うているが、 これはsacristiから転じたもの。こういうのは今でも言うのか。 それにしても、Ganimard というのは、いかにも耳障りな音であることだ。 それはそうと身辺整理。文字通り半径1メートルぐらいの身の回…

Crebleu !

『リュパンの告白』をフランス語でぱらぱら読んでいたら、 アルセーヌ・リュパンは(特に独り言で)けっこう口語というか俗語というかを しゃべっているのに、ふーんと思う。Canaille(悪党)とかBigre(なんてこった)とか、 なんか懐かしい感じの言葉です…

奥方よ

土曜日、月一マラルメ。新しい人に会えるのはよいことだ。 久しぶりの愛する中華屋で、 紹興酒で撃沈し、 計15時間ぐらい寝た挙句、起きたら鼻がぐずぐずする。 1896年2月10日『フィガロ』紙に掲載。詩集収録はなし。 1888年年頭に、メリー・ロラーンに贈っ…

オフサイド・ガールズ

散髪の後で、ぽっかり時間が空いたので久しぶりに映画を観る。 Offside, 2006 製作・編集・監督ジャファル・パナヒ。イラン映画。 女性が男性のスポーツをスタジアムで観戦することが禁止されている中、 2006年ワールド・カップ最終予選の試合に、 男装して…

散髪の後

森薫さんの『エマ』を7巻までようやく読み終える。 世紀末イギリスを舞台に、身分違いの恋を主題にした物語は、 まさしく19世紀のメロドラマそのまんまなのが凄い。 ど真ん中直球の恋愛物語を、見事な画力が支え、かつ盛り立てており、 たいへんに読み応えが…

アメリカ嫌い

内田樹、『街場のアメリカ論』、文春文庫、2010年 を読んで、自分とアメリカのことを少し考える。 二十歳ごろにフランス文学を勉強しようと決めた時の私には、 そのことがなんらかの「政治的」な意味合いを帯びているなどと 考えもしなかった。少なくともそ…

第四の書

ようやくに読み終える。 ラブレー、『第四の書』、宮下志朗 訳、ちくま文庫、2009年 嵐におびえ、クジラにおびえ、パニュルジュはえらいことになって大変なんだけど、 別段彼に罰が与えられるわけでもなんでもなく話がおもむろに終わるところが さすがはラブ…

ザラスさま

1896年にマラルメが「詩王」に選ばれた時の選挙結果は、 167票中、棄権が54。マラルメの得票は27で、二位モレアスは19票。 以下、シュリ=プリュドム12、レニエ11、ディエール9、エレディア9、リシュパン9 ヴェルハーレン7、レッテ6、ヴィエレ=グリファン6…

動物農場

ジョージ・オーウェル、『動物農場』、高畠文夫 訳、角川文庫、2010年(57版) いわずとしれた傑作寓話。独裁的権力の見事な諷刺。豚のナポレオン。 馬のボクサーがことのほか哀れであった。 これも周知のことながら、他に3編の掌編が付されていて、その中で…

値千金

の祝日にこそ、はたらける。

ご返事の続き(2)

日曜に新潟、本日帰宅。 夜に仕事するも、おもいきし行き詰ったので、気分転換。 さて竜之介さん見てますか。 ようやくモーパッサンと神について思うところを。 19世紀フランスは少なくとも表面的には世俗化の道を進み、 合理主義と実証主義がまかりとおった…

フランス語の効用

iPodの容量に制限があるので、 フランス・ギャルとシルヴィー・ヴァルタンとグレコにしばしの別れを告げ、 代わりに放り込んだものを、備忘に記しておく。年齢順。 Raphaël (1975-), Caravane, 2005(ラファエル、『キャラヴァーン』) Christophe Maé (1975…